
日々の通勤や通学、旅行などでたくさんの人が利用する電車。
【写真】電車内の案内表示「この画面だけずっと出しててほしい」
私たちのくらしになくてはならない電車ですが、乗客のマナーや迷惑行為が問題視されることもしばしば――。
先日にも、X(旧Twitter)上で、「電車の貫通路(車両間をつなぐ連結部分)に立っている乗客がいる」という内容の投稿があり、注目を集めました。
投稿した人に聞くと、その方は数年来にわたってこの場所に立ち続けており、ここを通りたい人が来てもどいてはくれないとのこと。さらに、駅員にいって注意してもらっても、結局は同じところに戻ってきてしまうそうです。
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リプ欄にもたくさんの反響の声が。
「酔っ払いがおしっこしたり吐いたりするとこやで?」
「そこめちゃくちゃ危ないから自分の身のためにも移動してほしい」
「事故ったら最悪死ぬ場所だよそれ!」
迷惑だというばかりでなく、本人にとっても危険な行為だと心配する人もいました。
「連結部に居座ることはとても危険」と投稿した人も話します。
そんな「貫通路に立つ」という行為。果たして、具体的にどのような問題や危険が生じるのでしょうか…?
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国土交通省も注意を呼びかけ
2010年に国土交通省鉄道局が発表した『鉄道の安全利用に関する手引き』でも、「貫通路・貫通扉の近くにいるとき」の注意点について記載されています。
本項には、「貫通路、貫通扉(間通路の両端に設置されている扉)の近くにいるときは、貫通路に立ち止まらないようにしましょう」と書かれており、その理由について、「列車がカーブやポイントを通過するときなど、貫通路の渡り板(※足場となる板)などが大きく揺れて、転倒するなどのおそれがあります。また、通行する人の支障になります」とあります。
また、列車内で火災が発生した時など、火災が他の車両にまで拡大しないように、という理由から、「貫通扉は、閉めておくようにしましょう」とも呼びかけられていました。
つまり、貫通路や貫通扉は、車両移動に使われるだけではなく、非常時に重要な役割をもつ場所でもあり、公式見解としても運行時にはこの場所にとどまってはいけない――と定められているのです。
落下したり押し潰されたりする危険性も!
また、貫通路に立ち止まると、その本人にも互いの車両に押し潰されたり、渡り板の隙間から落下したり――といった危険性が高まるといいます。
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2014年2月、神奈川県川崎市の元住吉駅内で起こった「東急東横線元住吉駅追突事故」では、事故後の列車に車両同士が激突して連結部の隙間がなくなっていたり、逆に引き離されて渡り板が外れてしまったり――といった状況が確認されました。
つまり、このような事故が起こった際に貫通路にいると、押し潰されたり落下したりといった、悲惨な状況に見舞われる可能性は十分にあります。このことからも、貫通路に立つのは非常に危険な行為といえるでしょう。
守るべきマナーは他にも…
一般社団法人日本民営鉄道協会が発表した「2024年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」によると、乗客の方々が問題視している迷惑行為について、「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」、「座席の座り方」、「騒々しい会話」、「乗降時のマナー」、「荷物の持ち方・置き方」「スマートフォン等の使い方」といった項目が上位にランクインしています。
乗客が問題だと感じている行為は、他にもたくさんあります。
たくさんの人々が利用する電車。皆が安心安全快適に乗車ができるよう、我々乗客も心がける必要があります。
自分が周りの迷惑になってしまっていたり、危険を伴ったりする行為に及んでいないかどうか、考えてみることも重要かもしれませんね。
◇ ◇
【引用】
■国土交通省鉄道局による『鉄道の安全利用に関する手引き』
■「東急東横線元住吉駅追突事故」の調査報告書説明資料(運輸安全委員会作成)
■一般社団法人日本民営鉄道協会による「2024年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))