ローソン「盛りすぎチャレンジ」はなぜ続く? コスト増でも“増量”をやめない理由

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2025年05月31日 08:40  ITmedia ビジネスオンライン

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価格そのままでここまで盛る? ローソンが「盛りすぎ」

 ローソンが2023年より実施している「盛りすぎチャレンジ」が好調だ。同社では近年、「ボリューム感」や「お得感」を打ち出した新商品を多く手掛けている。その中でも、こちらは既存商品のうちいくつかを期間限定で「価格はそのまま、重量や具材などを増量」する、消費者にはうれしいキャンペーンとなっている。


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 これまでに4回実施し、キャンペーン期間中は1店舗当たりの平均客数が前年対比で約5%増加。同社が実施した他の施策と比較して、最も高い増加率を記録している。


 6月3日からは、第5回「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンの開催を予定している。では、なぜ価格を据え置いたまま増量する企画を考えたのだろうか。物価高で原材料が高騰する中、ローソンが本キャンペーンを推進する理由とは。同社理事執行役員で商品本部統括部長の友永伸宏さんに話を聞いた。


●お得感と一緒に「わくわく感」も届ける


 数年前から続く物価高騰により、コンビニ各社では、さまざまな工夫を凝らした商品開発やキャンペーンを実施している。そんな中、ローソンはお得感だけでなく、商品を見たときに「なんとなくワクワクする」「誰かに共有したい」と思えるような感覚を届けたいと考えていた。


 「物価高で世の中がどんよりムードになる中、少しでも日常の中で幸せや喜びを感じてもらえる商品を届けたいと考えた。周囲との会話のきっかけになるような商品をつくれないかと検討していた」(友永さん)


 そこで始まったのが、「価格はそのまま、重さは47%アップ」という今回のキャンペーンだ。47という数字には、全国47都道府県すべての人に、お得さや楽しさを届けたいという思いが込められている。


 一部を除く全国のローソン店舗にて、2023年2月に第1回(全12品)、2024年2月に第2回(全19品)、2024年6月に第3回(全11品)、2025年2月に第4回(全31品)を実施。6月3日から30日までの約4週間にわたり、第5回(全41品)のキャンペーンを予定している。


●コスト増でも実施するワケ


 実際に本企画をスタートすると、想定以上の反響があった。「十分な量を用意していたつもりだったが、商品を棚に並べる前から楽しみに待っているお客さまもいた」


 年代別では、特に20代の新規来店が増えたという。最も利用が多かったのは40〜50代で、同社では「家族や友人とシェアする目的で購入している」と分析している。


 SNSでは「お得」「いいね」といった反応に加え、通常の商品ではあまり見られない「面白い」「やばい」といった感想も寄せられた。「もっと頻繁にやってほしい」「(対象)商品がもっと多いとうれしい」といった声に応えて、開催頻度を当初予定の年1回から2回に変更したほか、対象の品数を増やした。


 開催に当たっては、原材料の高騰に加え、製造や物流にかかわる“見えにくい”コスト増もあるという。そのまま実施すると会社としては採算が取れない構造であるため、どうすれば要件を満たしながらコストを削減できるのかを検討し、盛り方や容器、仕入れの調整など、考えられるあらゆる工夫を凝らしてコストダウンを図っている。


 もともと年1回の予定だったところを年2回に増やしたこともあり、社内の各部署で準備に追われているようだ。それでも継続して実施するのは、以下のような理由もある。


 「加盟店のオーナーや従業員からは、『お客さまが笑顔で商品を手に取り、商品がどんどん売れていくのがうれしい』という声が寄せられた。この企画には、売り上げ以上の価値があると実感している」


 また、同社としては本キャンペーンをきっかけに来店した顧客が「ローソンが何か楽しいことをしているな」と感じてもらうことで、キャンペーン期間外にもローソンに足を運んでもらえることを期待している。実際に「再来訪の顧客数は、データ上でも想定を上回っている」という。


●ローソンが考える「盛りすぎチャレンジ」好調の要因


 毎回、大きな反響があることについて、同社は「お得感だけでなく、ローソン独自の見た目によるわくわく感があったため」と分析している。


 例えば、人気商品の「プレミアムロールケーキ」は、キャンペーン期間中「盛りすぎ!プレミアムロールケーキ」となるが、これは単にロールケーキを大きくしたのではなく、クリームがこんもりと盛り付けられた状態となる。見た目のインパクトだけでも、ついSNSでシェアしたくなる人も多いだろう。


 社内では、社長を含め「どうすればお客さまがわくわくする見た目になるか」を議論している。味はもちろん、見た目にもこだわり、本当にうれしいポイントをできるかぎり逃さないように徹底しているという。


 「ロールケーキであればクリーム、ソーセージパンならソーセージというように、食べたときに普段よりもおいしさを強く感じてもらえるよう工夫してきた。それらがSNSで広がり、大切な人と楽しい時間を過ごすきっかけになっていればうれしい」


●6月3日から第5回「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンを開催


 6月3〜30日には、5回目となる「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンを実施する。今回はローソンの50周年とからめて、50%増量した商品を、過去最多となる41品発売する予定だ(一部商品は6月2日に販売。沖縄県は40品)


 どのような見た目の商品が登場するのか、顧客の反応とあわせて注目したい。


(熊谷ショウコ)



このニュースに関するつぶやき

  • こうしたチャレンジの継続が、マンネリ、月並み、世間体のセブンに追いつき追い越す日を迎えるような気がします。����ӥ�����ʴ򤷤����
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