トランス女性に「おっさん」は侮辱＝同僚市議に賠償命令―名古屋地裁

　男性として出生し、現在は女性として生活する愛知県春日井市の小嶋小百合市議（７１）が、懇親会で「おっさん」と呼ばれて精神的苦痛を受けたとして、村上慎二郎市議に１５０万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が２５日、名古屋地裁であった。大竹敬人裁判長は「侮辱に当たり、名誉感情を違法に侵害した」として、１７万円の支払いを命じた。

　判決によると、小嶋氏は昨年１月、市議ら１５人が参加する懇親会で、同じ会派で議長だった村上氏から「おっさんやないか」「会派のみんなもそう思っている」などと言われた。その後、会派を離脱し、自律神経失調症や不眠症の診断を受け、一時休養した。

　大竹裁判長は、村上氏の発言は「トランスジェンダー当事者をやゆし、名誉感情を損なうものだ」と認定。「社会的に許容し得る限度を超える侮辱に当たる」と指摘し、懇親会の場での軽口だとしても不法行為に該当すると結論付けた。

　判決後に記者会見した小嶋氏は「何気ない発言で相手を傷つけることがなくなってほしい」と訴えた。村上氏は「判決文を読んで、弁護士と今後のことを相談したい」とコメントした。