限定公開( 12 )
ATMから無料の現金用封筒が大量に持ち去られ、フリマアプリで販売されている——。
Xでは9月末ごろから、このような報告が一部で拡散されている。
「9月30日、あるユーザーが銀行・コンビニのATMに備え付けられている無料封筒が消えて、大手フリマアプリで販売されていると報告したところ、投稿に1万件近い『いいね』が付くなど注目を集めました。ただ、この手の事例は過去にもありました。
たとえば’19年にローソンとドラクエがコラボキャンペーンを実施した際に、ATMの封筒が“ドラクエ仕様”に変わったことがあったのですが、当時もXでは《転売ヤーが大量に売ってる》という報告が相次いでいました。実際にフリマアプリを覗いてみると、無料封筒40枚が300円程度で販売されている例が確認できます。ほとんどの場合が“送料込み”ですから、利益は極めて低いと思うのですが、仕入れは無料ですからね……」(WEBメディア記者)
実際に、全国で3万1200台(’25年3月末時点)のATMを設置する「ゆうちょ銀行」の封筒を大手フリマアプリで検索すると、「ゆうちょ銀行封筒50枚」「ゆうちょ銀行ATM用現金封筒×32枚」といった販売ページが見られ、いずれも300円ほどで取引されている。なかには、日本郵政との提携サービスで封筒が発送されている例もあり、これは何とも皮肉といえる。
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銀行側の善意で提供された封筒を大量に持ち去り、利益を得ようとする「転売ヤー」たち。ここ数年、人気ゲームやトレカなど、様々な分野における彼らの“暗躍”が物議を醸しているが、封筒をめぐる彼らの行為にも、Xではこんな怒りの声が上がっている。
《無料配布品をはした金で売る この国終わってるな……》
《銀行でATM操作中、他の空いてるATMから封筒をガバガバ抜き取って持って行く人がいて「え???」と思ったことがあったけど…》
《ただの窃盗でしょ。銀行は面倒でも訴えたほうがいい》
《こういう、サービスや人の善意を悪用する輩、大っっっ嫌い》
実際、銀行側は「転売ヤー」による持ち去りをどのように受け止めているのだろうか。本誌は10月1日、ゆうちょ銀行広報部の担当者に対して見解を問い合わせた(以下、カッコ内は担当者の話)。
まず、担当者は、ゆうちょ銀行の無料現金用封筒がフリマサイトで転売されている事例について、「そのような事例があることは把握しております」とコメント。封筒が必要以上に持ち去られることで、利用客に影響が出ているかを尋ねたところ、以下の回答があった。
「当行が具体的に把握している事例はございませんが、封筒が必要以上に持ち去られることで、一般のお客さまに影響がおよぶ可能性はありえると認識しております」
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また、担当者は、コストがかかる封筒を無料で提供する意義について、「ATMをご利用のお客さまの利便性を考慮し、無料で提供をしております」と説明。最後に、こう呼びかけた。
「封筒を必要とするお客さまに便利にお使いいただきたいため、必要以上の持ち去りや転売行為は控えていただきたいと考えております」
何かと便利なATM備え付けの無料現金用封筒。’22年頃からは環境配慮を目的として、全国の地方銀行、信金などで提供をやめる動きが広がってきたが、これ以上、転売行為や必要以上の量の持ち去りが続けば、その動きに拍車がかかるかもしれない——。
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