寿司ペロ迷惑行為を受け、「スマホ撮影原則禁止」の動き チェーン店各社の対策はどう違う?

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2025年10月22日 20:51  ITmedia Mobile

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回転寿司チェーンのくら寿司

 くら寿司で発生した迷惑行為の動画がSNSで拡散し、再び“回転寿司の炎上”が注目を集めている。


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 大きな話題となったのは、2023年のスシロー事件だ。若い来店客がしょうゆ差しの注ぎ口をなめたり、回転レーンの寿司に唾液を付着させたりした様子をSNSにアップロードした。


 くら寿司の名古屋栄店でも、同じく2023年に迷惑行為が発覚。2025年10月14日には、くら寿司が山形南館店で発生した迷惑行為の実行者を特定したと発表。その動画がSNS上で拡散され続けている他、動画アップロード主と実行犯の個人情報を特定する動きにまで発展した。


 現代は、誰でもスマートフォンのカメラで動画を撮影し、それをすぐにアップロードできる時代だ。しかし、寿司チェーン店における悪質な行為は後を絶たない。こうした中、寿司チェーンとその運営元はどのように対策を行っているのだろうか。


 寿司チェーン4社に取材したところ、撮影や防犯に対する姿勢には明確な違いが見えた。


●迷惑行為の防止策は防犯カメラの活用など


 くら寿司は、「IT機器を活用して迷惑行為の抑止や、万が一発生した場合に確認できる体制を整えている」と説明する。


 また、客の入れ替えごとに卓上の調味料容器などを消毒し、消毒済みのものと交換するなど、衛生面の対策も徹底しているという。


 かっぱ寿司は、迷惑行為防止策として「フルオーダー方式の導入」によって、レーンに商品を流さず注文品のみを提供している点を挙げる。さらに、「防犯カメラの活用と巡回強化」「迷惑行為発見時の対応マニュアル共有」により、迅速な初動対応を図っているとした。


 はま寿司は、問題行為を発見した際には「事案に応じて警察に相談のうえ、被害届を出すなどの対応をしている」とし、毅然とした姿勢を示す。レーン上には「商品が停止してからお取りいただく」「肘などを置かない」などの注意書きを掲示し、ルール順守を呼びかけている。


 スシローを運営するあきんどスシローの親会社FOOD & LIFE COMPANIESは、「スタッフの注視のもと、必要に応じてお声がけや注意を行っている」と述べるにとどめたが、「お客さまに安全で安心してお食事をしていただけるよう、使命に努めていく」とコメントしている。


●スマホ撮影を「禁止」する店、「許容」する店


 迷惑動画の多くは、店内でスマートフォンによって撮影され、SNSに投稿されることで拡散している。この“撮影文化”をどう扱うかについて、各社の対応には温度差がある。


 はま寿司は、「投稿や配信を目的とした店舗での動画撮影は原則禁止」と明言。店舗入り口に「撮影禁止」の掲示を行い、他の客や従業員のプライバシーを守る姿勢を打ち出している。ただし「お客様ご自身のお食事風景の写真撮影」は認めており、線引きは明確だ。


 一方、くら寿司は「撮影・投稿にかかる注意事項をHPや店頭で告知し、ルールの範囲内でのみ許可している」と説明する。その上で「写真や動画の撮影可否と、迷惑行為(撮影有無)は別物であると考えないといけない」と述べ、撮影そのものを問題視するのではなく、行為の内容に焦点を当てる立場を示した。


 かっぱ寿司は、撮影を全面禁止せず「常識の範囲内でのご利用をお願いしている」としつつ、「ポジティブな投稿は歓迎している」と語る。店内には撮影マナーを促すPOPを掲示し、不適切な撮影には従業員が声かけで対応するという。さらに「厨房内へのスマートフォン持ち込み禁止」や「SNS利用誓約書の署名」を従業員に義務付け、内外両面でリスク管理を行っている。


 スシローは具体的なルールには触れず、「店舗運営に関わることのためお伝えしていない」とした。


●迷惑行為や不適切な撮影が確認されたらマナー啓発と教育の強化


 くら寿司では、迷惑行為や不適切な撮影があった場合には「従業員が声かけを行い、必要に応じて中止をお願いするよう指導している」という。


 かっぱ寿司も、「POP掲示や店内アナウンスによる注意喚起」を実施し、入社時にSNS利用教育を行うなど、従業員教育の継続的な強化に取り組んでいる。加えて、「お客様との良好なコミュニケーション」と「リスク感度の高い行動」を重視し、店舗全体で安全な環境づくりを進めていると説明した。


●「スマホの持ち込み全面禁止」の予感すら漂う問題 模索続く回転寿司業界


 迷惑動画の再発防止を巡り、はま寿司のように「動画撮影禁止」に踏み切る企業もあれば、くら寿司やかっぱ寿司のように「マナー順守を前提に許可」する企業もある。


 SNSが宣伝効果を生む一方で、炎上リスクも抱える中、業界として統一的なルールはまだ存在しない。


 くら寿司は「IT機器を活用した防犯対策や衛生管理を通じ、安心いただける食事空間の実現に努める」とし、かっぱ寿司も「外食業界全体での情報共有や連携の必要性を認識している」と述べた。


 寿司チェーン店へ行く人の中には、スマートフォンでおいしかった寿司を撮影し、それを家族や友人、あるいはSNSでつながっている人と共有する人もいるだろう。しかし、後を経たない迷惑行為は、寿司チェーン店や運営元にとっては悩みの種といえる。


 迷惑行為とネットへの動画アップロードに歯止めが効かない状況が続けば、大手寿司チェーンにおいて「寿司店へのスマートフォン持ち込みを全面禁止」という新たな厳しいルールが設けられそうな予感すらする。


 今後も、回転寿司業界では迷惑行為やその動画を巡る問題で、ルール作りや対策などについての模索が続きそうだ。



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  • 賠償金請求を取り下げたりするから、無くならない。 人生終了しようが、自◯しようが、賠償金を請求する事を告知すれば良い。
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