送検のため兵庫県警本部を出る政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(中央)=10日、神戸市中央区 1月に死去した竹内英明元県議=当時(50)=の名誉を傷つけたとして、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)が逮捕された。死者への名誉毀損(きそん)罪は虚偽の事実を示した場合にのみ成立するため、立件は異例とみられる。
名誉毀損したとされる一連の発言や投稿について、兵庫県警は「事実ではない」としており、捜査は今後、立花容疑者に虚偽情報との認識があったかが焦点となる。県警は同容疑者に情報提供した人物から事情を聴くなどし、詰めの捜査を急いでいる。
立花容疑者は竹内氏について「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」と発言したり、同氏の死後、SNSで「明日逮捕される予定だった」と虚偽の投稿をしたりし、名誉を傷つけた疑いで逮捕された。
名誉毀損罪は、他人の社会的評価を下げる事実を公然と示し、人の名誉を傷つけた場合に適用される。死者が相手であればより厳格で、示した事実が虚偽の場合にだけ成立するため、立件のハードルは高いとされる。
甲南大の園田寿名誉教授(刑法)によると、これは政治家など歴史上の人物を死後、論評したり、小説で書いたりする場合、真実か確かめられない部分で罰せられないようにするためという。
ただ、同罪は相手が公人で死亡していない場合、発信した情報に真実だと信じる相当な理由(真実相当性)があれば、成立しないとも規定する。
立花容疑者は8月、記者会見で「(竹内氏の)名誉を毀損したことに争いはない」と認めつつ、真実相当性を主張し、違法性はないとの認識を示していた。
過去の判例によれば、捜査関係者から聞いた話に基づく発言などではなく、うわさやネットの書き込みを信じたという程度では、真実相当性は認められていない。園田氏は、立花容疑者の情報の入手ルートや情報の信用性が、今後の捜査のポイントになるとしている。