著名人をかたったSNS型投資詐欺の被害を防ぐため、名前を使われた経済評論家ら本人が注意を呼び掛けたメッセージ(警察庁の公式Xより) 著名人をかたる偽広告で投資を募り、金をだまし取るSNS型投資詐欺の被害が急増している。警察庁は「ホンモノからのメッセージ」として、公式X(旧ツイッター)に名前を使われた本人のコメントを載せるなどし、注意を呼び掛けている。
同庁によると、SNS型投資詐欺の認知件数は9月末時点で5942件、被害額は773億円と前年同期比で約70億円増えた。株価高騰に伴う投資熱の高まりもあってか、8、9月は連続で件数、被害額とも月別の過去最多を更新した。
被害の多くはユーチューブの視聴中に流れる広告動画やバナー広告を入り口に、偽投資グループのLINEなどに誘導し、インターネットで金銭を送らせる手口。広告は、投資家や経済評論家が正しい資産運用を指南するなどとうたって投資を勧誘する内容で、AIによるとみられる偽動画もある。被害の半数を50〜60代が占めるという。
警察庁は対策として、名前を悪用された本人に協力を依頼。経済アナリストの森永康平氏の「私がLINEを通じて投資の話をすることはありません」、経済評論家の三橋貴明氏の「私が投資を呼びかけることは絶対にありません」など、承諾を得た3人のメッセージを公式Xに掲載した。広報啓発に生かすほか、本人の関連サイトでも発信してもらう。
3人の他には投資家のテスタ氏や実業家の前沢友作氏、堀江貴文氏らをかたる被害が多いといい、引き続き協力を要請する。同庁の担当者は「まず本人の公式サイトを確認すれば、広告が詐欺と分かるはず。決してだまされないでほしい」と話している。