クマの目撃相次ぐ秋田市 影響は経済にも…商店街には客が激減「忘年会の問い合わせすらない まるでコロナ禍」

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2025年11月29日 07:03  TBS NEWS DIG

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秋田市内でのクマの目撃情報がいまも相次いでいる。11月26日までの1週間で、クマの目撃件数は171件にのぼった。
 
クマの出没件数の多さもそうだが、何より驚かされるのはクマが目撃される場所だった。14日の朝方には秋田県庁や裁判所など行政機関が密集する市の中心部で立て続けに目撃情報が入り、市民を震え上がらせた。さらに、大型スーパーなどがある商店街でもクマの姿は次々と確認されている。

【写真を見る】人通りがまばらで、ひっそり静まり返っていた秋田市の繁華街

クマの影響で経済活動に影 店主悲鳴「忘年会の問い合わせはゼロ、まるでコロナ禍」

人の生活圏でクマの出没が相次ぐ秋田市では、商店街や繁華街の利用客数が減少している。
秋田市大町にある県内最大の繁華街・川反も例外ではない。かつては道行く人が肩をぶつけ合うほどの賑わいを見せていたが、14日の金曜日の夜、人通りはまばらだった。

「売上は去年に比べて、半分以下。常連さんもまったく来なくなりました」。川反で飲食店を営む高西千治さんは、そう漏らして深い溜息をついた。客足が落ち始めたのは10月、クマの目撃情報が急増してからだという。特に平日の夜の落ち込みが顕著で、「物価高で経営が苦しいなか、クマでさらに追い打ちをかけられている」と語った。

例年この時期は忘年会の予約が埋まり始めるが、今年は問い合わせすらなく、「店はコロナ禍の頃とほぼ同じ状況だ」と肩を落とした。このまま12月も街中にクマが出るようなら厳しいとしつつ、「クマは災害だ」と強調した。

県が飲食業者を対象に専用相談窓口を設置

このような事態を重く受け止めた秋田県は、11月17日から飲食業を対象とした専用窓口を設置し、対応にあたっている。
産業政策課の担当者は、窓口を設置した理由について「各商店街から 『お客さんが来なくなり、経営が厳しい』という相談が相次いでいたため」と説明した。現状、クマ被害に特化した支援金や支援策はないものの、経営に苦しむ店舗に対して、利用可能な支援制度を個別に案内しているという。

また、影響は店舗経営だけにとどまらない。クマの出没により、屋外イベントも中止になることが多く、イベント用に仕入れた食材が無駄になったケースもあるという。担当者は「いつまでこの状態が続くか分からないが、クマが冬眠に入り、事態が収まるまで相談窓口を継続する」と話した。

「外出が怖い」客のニーズに合わせた新サービスも

一方で、クマの出没により外出を控えている客の声を受けて新たなサービスを始めた店も次々と登場している。通町商店街などに店をかまえるコーヒー販売店「南蛮屋おあい」では、11月7日からコーヒー豆を300グラム以上購入した客を対象に、宅配送料を無料にする取り組みを始めた。サービス開始後、山に近いところを中心に、毎日のように利用する客が増えているという。

青井智社長は「年配の方を中心に、『クマが怖くてお買い物に行けない』という声が多く寄せられた」と話す。実際に、来店客数は前年同月比で約1割ほど減っており、「もうけも大切だが、クマを怖れて外に出られないお客様に、おいしいコーヒーを届けたいと思った」とサービス開始の理由を説明した。さらに「早くクマが冬眠してくれたらいいんだけど」とも語った。

連日、メディアを賑わせているクマ被害。その多くは人的被害を伝えるものだが、実際には地域経済や住民生活にも深刻な影響が広がっている。飲食店や観光業では客足の減少が続き、屋外イベントの中止によって準備した食材が無駄になるといった、目に見えにくい損失も積み重なっている。

クマの冬眠が待たれる一方で、こうした影響が来年以降も繰り返されれば、地域経済の疲弊は避けられない。生息環境の変化や餌不足など、背景にある課題に向き合いながら、行政・住民・専門家が協力して持続的な対策を構築する必要があるのではないか。人的被害を抑える対処だけでなく、被害の拡大を未然に防ぐための長期的で抜本的な手だてが求められている。

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  • 自分のエサを買いに行ったはずなのに自分がエサにされたらかなわないですからね。
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