
クリーニング業界の淘汰が加速している。帝国データバンクの調査によると、1〜9月に倒産・廃業したクリーニング店は計52件で、過去最多ペースで推移している。テレワークやビジネスウェアのカジュアル化による需要減に加え、資材や人件費の高騰が収益を圧迫。価格転嫁が進まない中、長年地域に根ざしてきた中小店舗の経営が限界を迎えつつあるようだ。
●街のクリーニング店に直撃する「三重苦」
1〜9月に発生した負債1000万円以上の倒産は18件、休廃業・解散は34件に上った。帝国データバンクは「実際には零細店の自主閉業も多く、実数はさらに多い」と指摘する。
クリーニング需要の減少には複数の要因が重なっている。コロナ禍を機に定着したテレワークやビジネスウェアのカジュアル化、水洗い可能なスーツの登場、家庭用洗濯機の高性能化などがクリーニング離れを加速させた。一方、クリーニング事業は設備や資材、人件費などのコスト上昇が続いており、「低利益・大量処理」を前提とした従来のビジネスモデルが立ち行かなくなっている。
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クリーニング事業者の2024年度の業績を見ると、3割以上が減益、2割が赤字となり、業績悪化が半数を超えた。ドライクリーニング溶剤や包装資材、ボイラー燃料などの価格上昇に加え、人手不足を背景に賃上げを実施した企業も多い。多くの店舗では価格改定によって増収を確保したものの、コスト増を吸収しきれず、増収減益に陥ったケースが目立った。
業界の高齢化も深刻だ。創業数十年の個人経営店では、老朽化した機械の更新を機に廃業するケースが相次いでいる。こうした設備更新を断念する廃業が、業界全体の退出ペースを押し上げている。
一方、インバウンド需要の回復を追い風に、宿泊業向けのリネンサプライを強化する動きや、アプリ会員向けの割引・ポイント施策などで集客を図る企業も見られる。ただし、資材費と人件費の上昇が続くなかで価格転嫁には限界がある。「ワイシャツ1枚200円を超えると客足が鈍る」「値上げに踏み切れない」といった声も多く、価格戦略の難しさが浮き彫りになっている。
帝国データバンクは「『カジュアル化』『資材高』『節約志向』という三重苦が中小事業者を直撃し、経営体力の乏しい店舗では“あきらめ倒産・廃業”が一段と増える可能性がある」と分析している。
調査の集計期間は2000年1月1日〜2025年9月30日、集計対象は負債1000万円以上で法的整理による倒産。なお、休廃業・解散とは、倒産(法的整理)を除き特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(「みなし解散」を除く)を確認した企業としている。
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