【ミラノオリンピック】フィギュア日本女子は転換点に突入 中井亜美、島田麻央......「ポスト坂本花織」の最有力は

16

2026年02月22日 14:30  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

 2月20日(現地時間)、ミラノ。ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケートのエキシビションが行なわれていた。大会を彩った選手にだけ与えられる参加特権で、アメリカのアリサ・リュウは「エキシビションに出るために来た」と豪語するほどの華やかさ。地元イタリアの英雄、カロリーナ・コストナーが氷上に描かれる色彩の光のなかで滑り、宴の始まりを告げた。

 銅メダルを勝ち獲った17歳の中井亜美は、4番手で登場している。真っ赤な衣装で『Don't You Worry 'bout a Thing』を艶やかにパワフルに踊り、エキシビションでも大物ぶりを発揮した。なぜ彼女はこれほど表情が豊かで、何気ない仕草が"バズる"のか。ひとつのタレントだ。

「Amazing Energy!!」

 会場DJはそうアナウンスしていたが、まさに「驚くべきエネルギー」だった。彼女自身が会場の熱を発電しているのだ。

 最後の五輪で銀メダルだった坂本花織は、23番手でリンクに立った。笑顔でリンクに登場すると、衣装のストーンをキラキラと光らせながら、五輪"見納め"の演技で風のように舞った。上半身をそらしてからのダブルアクセルも披露。大きな拍手を浴びていた。

「メジャーなこの曲(『A Million Dreams』)を滑ってみたいと思っていた。競技プログラムの好きな技をちょっとずつ入れて、詰め合わせたプログラムです。今までの感謝を伝えて、自分が"ここでやってきた"というのを最後に見せたいと思いました」

 坂本はそう思いを語った。

 深夜まで続いたエキシビションの余韻は、ひとつの時代の終焉とひとつの時代の幕開けを意味していたーー。

【中井亜美は次のヒロイン候補】

 今シーズン限りで、坂本はリンクを去る。彼女は全日本選手権を5連覇中で、今も実力はトップレベル。彼女の引退は、否応なく新たな時代の"ネジを巻く"ことになるだろう。坂本と同世代の三原舞依、樋口新葉のふたりも全日本選手権でラストダンスを舞った。10年近く、日本女子フィギュアスケート界を支えてきた巨人たちが一斉に引退することになったのだ。

 そう書くと不安がよぎるだろうが、ポスト坂本時代も百花繚乱である。今回の五輪で銅メダルの中井亜美は、最有力のヒロイン候補だろう。

 中井は、爆発的な疾走感やスケート技術、演出が際立った坂本とはタイプが違う。浅田真央の代名詞だったトリプルアクセルを武器に、プログラムの世界観を滑りきるキャラクター力も見せる。ショートプログラム(SP)の『道』で振りまいた笑顔は、主人公ジェルミーナのごとく天使のようだった。特筆すべきは勝負の胆力で、SPは解き放たれた演技で1位だった。

「オリンピックは緊張ゼロ。思った以上に楽しくて、キラキラしている舞台だと思いました!」

 中井はそう振り返ったが、フリーは調子がいまひとつでも攻め抜いてトリプルアクセルを成功させ、土俵際の強さでメダルを勝ち獲っている。

【日本女子を引っ張る逸材たち】

 次に、今回の五輪で4位に入った千葉百音(20歳)も、中井と並ぶポスト坂本時代の旗手と目される。SP、フリーどちらも4位と安定感のあるスケーティングを見せ、それは彼女が研鑽を積んだ技術のたまものだろう。本人も自身の課題を「全エレメンツを最強に」と明かしたように、今後、大技に挑むよりも精巧さやダイナミックさを高めることになるのではないか。

「ショートもフリーも、オリンピックの舞台で落ち着いて演技ができました。こんなにも幸せなんだなって感謝しながら。この先のスケートでも生きてくるだろう、すばらしい経験だったなと思います」

 フリー後、千葉はそう言っていたが、3月の世界選手権もすでに視野に入れていた。五輪の経験がさっそく生かされるか。彼女はその挑戦をまた4年間、丹念に繰り返していくだろう。

 そして、今回の五輪で最後まで出場枠を争った渡辺倫果(23歳)は現役続行を決め、新たに岡山・倉敷に拠点を移し、捲土重来を期す。世界で6選手だけのGPファイナルに出場し、全日本選手権でSP、フリーで計3本のトリプルアクセルを着氷させた実力は本物。かつて同門だった中井とトリプルアクセルを切磋琢磨した"姉"の再出発は注目だ。

 今年1月、四大陸選手権で優勝した青木祐奈(24歳)は連続ジャンプのセカンドのループが武器で、その表現力は屈指。指先まで神経が通い、音を拾う身体の反応に優れ、スケーティング基礎力が非常に高い。表現者としての名声を誇る高橋大輔のアイスショー『滑走屋』のキャストに選ばれたのも納得で、彼女の演技からは美しさや楽しさを感じられる。

【島田麻央が真価を見せる時】

 しかし、ポスト坂本の座に一番近いのは中井と同じ17歳、島田麻央かもしれない。全日本選手権で4年連続の表彰台に立って、過去2年は坂本に次ぐ2位だった。今回の五輪に出場できなかった理由は、年齢制限で誕生日がわずかに遅かったから。7月1日時点で17歳が出場規定で、島田は10月生まれ、中井は4月生まれだった。

 島田はトリプルアクセルだけでなく、4回転ジャンプも武器にする。スピンひとつとっても回転速度が速く、滑りに爆発力を感じさせる。全日本ジュニア選手権5連覇、世界ジュニア選手権3連覇で、ジュニア年代では中井も含めて敵なしだった。不条理な年齢制限に見舞われたが、来シーズンからシニアで国際経験を積むことでいよいよ真価を見せる。

 また、島田とジュニアで戦った16歳の岡万佑子も急成長している。昨年の全日本はトリプルアクセル成功で6位へ躍進した。また、岡田芽依は15歳でジュニアGPファイナルを3位、全日本は14位で、将来性は十分。中井もうかうかとはできない"新世代の台頭"が、これから4年間であるだろう。

 ミラノ・コルティナ五輪は日本女子フィギュアスケートの転換点となる。

このニュースに関するつぶやき

  • しばらくは中井さんだろう。でもマスコミの過度な期待やら難易度の高い技ができずにスランプに陥ったりで屈託のない笑顔が失われたり、緊張で演技が硬くなったりするかも
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(9件)

ニュース設定