石油“国家備蓄”放出も「スーパーインフレだ」資材高騰で工務店悲鳴… 米イランの交渉は?“戦闘終結の条件”を双方が提示【news23】

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2026年03月27日 14:22  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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中東情勢をめぐっては、アメリカとイランが停戦の条件を示すなど駆け引きが続いています。日本では国家備蓄の石油の放出が始まりましたが、石油由来の住宅資材が高騰し、「スーパーインフレだ」と悲鳴があがっています。

【写真で見る】中東情勢の影響で住宅資材が高騰 工務店「長引くと相当やばい」

石油の“国家備蓄”を放出 国内需要の45日分 

3月26日、政府が4年ぶりとなる石油の国家備蓄の放出を始めた愛媛県にある備蓄基地。

記者
「午前11時を過ぎました。今治市にあるこちらの備蓄基地では先ほど石油の放出が始まりました」

地下タンクに石油を貯蔵していますが、その石油を、パイプラインを通じて隣に建つ製油所に送りました。3月16日から行っている民間備蓄の放出分と合わせると国内需要の約45日分が市場に放出されることになります。

ただ、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続き、石油の供給が元通りになるメドは立っていません。備蓄の放出も一時的な措置に過ぎず、影響は物流などにとどまりません。

中東情勢の影響で住宅資材が高騰 工務店「長引くと相当やばい」

横浜市にある工務店。

あすなろ建築工房 関尾英隆代表
「これが壁に使う石膏ボード。上の方が薄いのが天井で使う石膏ボードになります」
「部屋の内側から湿気を壁の中に入れないようにするための防湿シート」

住宅の建設に欠かせないこれらの資材は、すべて石油由来の製品。中東情勢の悪化を受け、いくつかの製品が値上げされます。そのひとつは塗料をうすめるための「シンナー」製品。塗料大手メーカーがすでに75%の大幅な値上げを行っています。

他にも…

あすなろ建築工房 関尾英隆代表
「壁であったり屋根であったり床の断熱であったり、いろんなところで使われている」

断熱材の製造会社は4月から、販売価格を40%引き上げると発表。工務店の代表によりますと、一般的な住宅では、一軒あたり約200枚の断熱材を使用します。現在の価格は1枚あたり5000円程度で、値上がりすると、総額40万円ほど負担が増える計算になります。

こうした資材の高騰に伴い、今後住宅価格が上がる恐れがあるといいます。

あすなろ建築工房 関尾英隆代表
「コロナ以降、住宅価格は3割4割上がったと言われている。(コロナ前は)4000万円だったものが5000万円になってしまった。今度また同じことがこの短期間で起こるとなると、5000万円のものが6000万円になる」

さらに、短期間での値上がりは工務店側にとっても“死活問題”です。

家を建てる際、工務店側は顧客の注文を受けて作成した見積もりをもとに契約を行います。ただ、資材を発注する前に行政への申請が必要で、許可が下りるまで3か月程度かかるといいます。この間に、資材の仕入れ価格が大きく値上がりする可能性があるというのです。

これまでも契約のときより仕入れ値が高くなることはありましたが、数万円ほどだったため、値上げ分は工務店側が負担してきました。しかし、今回の大幅な値上げは受け止めきれないと嘆きます。

あすなろ建築工房 関尾英隆代表
「インフレというのはこういうことなのか。スーパーインフレかもしれない。これ多分住宅会社が全て負担すると本当に会社成り立たないと思う」

中東情勢の長期化で、さらなる資材の値上がりを心配しています。

あすなろ建築工房 関尾英隆代表
「早くホルムズ海峡封鎖を解いてもらわないと入ってこないと、これ長引くと相当やばい」

イランが戦闘終結に5条件提示 米要求の15項目拒否

原油価格が高騰する中、戦闘終結に向けた動きも…。

アメリカと仲介国は、イランとの高官協議を3月26日にも開催することを検討していて、イラン側から返答を待っていると報じられています。

アメリカ・トランプ大統領
「イランは強く合意を望んでいるが、自国民や我々に殺害されることを恐れて口に出せないのだ」

アメリカはイランに対し15項目の条件を提示したとされています。

【アメリカ→イランへの15項目の条件】イスラエル「チャンネル12」による
▼核兵器の開発を行わないと保証
▼ホルムズ海峡を開放
▼中東の親イラン勢力への支援打ち切り など

ただ、これらはイランにとって簡単には受け入れられないハードルの高い条件です。

イランの国営メディアは、安全保障担当の高官が、“イランはアメリカが提示した条件を拒否する姿勢を示した”とし、「トランプ大統領に戦争終結の時期を決めさせることは許さない」と明らかにしたと報じました。

逆にイランはアメリカに対し5つの条件を提示。

【イラン→アメリカへの5つの条件】イラン国営放送「プレスTV」報道
▼米・イスラエルによる侵略・暗殺の完全停止
▼再び戦争を強いられない具体的な仕組み
▼損害賠償の支払い など

イラン高官は、条件が受け入れられるまで「交渉は行われない」と強調し、その間は「防衛作戦を継続する」としています。

イラン・アラグチ外相
「交渉は行われておらず、仲介国を通じたメッセージは協議とはみなされない」

イラン側はアメリカが提示した停戦の条件を検討しているものの、「直接対話を行う意図はない」としました。

一方、アメリカ・ホワイトハウスの報道官は、「協議は続いている」と主張したうえで、イラン側に合意を強く迫りました。

アメリカ・レビット報道官
「もしイランが現実を受け入れず、今後も敗北し続けることを理解できないならば、トランプ大統領はこれまで以上に厳しい攻撃を加えるだろう」

双方が提示する "戦闘終結の条件”とは…

藤森祥平キャスター:
戦闘終結に向かって交渉は進むのでしょうか。アメリカ、イラン双方がそれぞれ要求などを含めて条件を出しました。

▼アメリカ側 “15条件” (イスラエル「チャンネル12」による)
・核兵器の開発を行わない
・ウラン濃縮停止
・ミサイル保有数の制限
・ホルムズ海峡の開放
見返りとして…経済制裁の解除 など

▼イラン側 “5条件”(イラン国営放送「プレスTV」報道)
・攻撃と暗殺の完全停止
・今後攻撃を受けない保証
・賠償金の支払い
・親イラン組織への攻撃停止
・ホルムズ海峡への主権承認

とにかく突破口を見出せるかどうかですね。

イラン「裏切りは常にアメリカ」イスラエルはどう見ているのか…

小川彩佳キャスター:
ここで中東支局長の増尾さんとワシントン支局長の涌井さんに聞きます。まず、増尾さんイラン側はこれどう受け止めているのでしょうか?

中東支局長 増尾聡記者:
イラン側としては、アメリカが今回提示した15の項目をそのまま飲むということは考えづらいと思います。特にウラン濃縮の停止や核施設の破壊についても書かれています。イランはこれまで何度も平和目的の濃縮活動は権利だと一貫して主張してきました。

その他にも、これまでイランが難色を示していたものも多く含まれていて、イランとしては、そのまま受け入れることは到底できないのだろうと思います。

一方で、イランにはこうした条件面以外での警戒感もあります。昨日、イランの政府当局者と30分間にわたって直接話をすることができましたが、その中で特に強調していたのはこれまで外交努力の最中に裏切って攻撃を仕掛けてきたのは、常にアメリカ側だったということです。

過去2回にわたって協議の席についたのにも関わらず、アメリカに攻撃されて戦闘が始まり、そうすると国際社会はイランを非難する。こうした部分に強い不信感をにじませていました。そのため、アメリカ側がイランの警戒感をどこまで払拭できるのかも鍵になってくると思います。

藤森キャスター:
そして、アメリカ、イランだけではありません。重要なのは、イスラエルがこれをどう見ているかですよね。

中東支局長 増尾聡記者:
イスラエルはもう気が気ではないというような状況だと思います。というのも、今イスラエルにとっての一番の懸念は、合意や停戦を急ぐアメリカ側がイランに対して妥協して、落としどころを見つけるということです。

そうなると、イスラエルが掲げている戦闘目標は達成されないまま、戦闘終結ということもあり得るわけです。ですので、イスラエルとしては、停戦に前のめりとも見えるアメリカの態度に少なからず焦りを感じていることは間違いありません。そのため、イランとしては強い立場で今後も駆け引きをしてくるということが考えられると思います。

“イラン優位”でトランプ氏に焦り? 上陸作戦の可能性も

小川キャスター:
一方のアメリカはどうなのでしょうか。トランプ大統領が停戦に前のめりになっているという話もありましたが、今どんな思いがあるのでしょうか?

ワシントン支局長 涌井文晶記者:
トランプ大統領としては、戦闘を早く辞めたいと思っていて、今交渉が進むなら、そうして欲しいとは思っているはずです。

ただ、焦りも見え隠れしていまして、現地時間の朝6時半過ぎに、「イラン側は手遅れになる前に真剣な態度に改めるべきだ」とSNSに投稿し、警告しました。

早く動かないと、軍事的な圧力を強めるぞという警告と見ることができると思います。実際のイラン側との交渉の中で、条件に“賠償金の支払い”が入っていますが、これは“トランプ大統領がやったことは間違いでした”と認めろという話ですので、到底間違いを認めないことをずっとやっているトランプ大統領としては飲めない条件ということになります。

そのため、交渉が進まないとなれば、ホルムズ海峡の開放・打開に向けて、軍事的なオプションを取るしかないのではないかと見ています。ですので、現在、強襲揚陸艦や海兵隊の展開を中東で進めています。いつでも攻撃に踏み切るぞという構えになっているというのが現状だと思います。

藤森キャスター:
その動きが、トランプ大統領の焦りにも見えます。

ワシントン支局長 涌井文晶記者:
やはりトランプ大統領としては、1秒でも早くこの事態を打開したいと考えているのは間違いありません。というのも、この先様々な日程が控えているからなのです。

【トランプ大統領の今後のスケジュール】
▼5月14日・15日:米中首脳会談
▼7月4日:独立記念日(250周年)
▼11月3日:中間選挙

11月3日の中間選挙では、与党である共和党がどのくらい勝てるのか、負けるのかという天下分け目の戦いなども控えています。

そのような中で、いつまでもイランの話をやっているわけにはいかないわけです。さらに、連日ガソリンの価格が値上がりしていることが報道されていて非常に旗色が悪くなっています。なので、1秒でも早くホルムズ海峡の状況を打開したいと焦っているというのがトランプ大統領の現状です。

藤森キャスター:
米中首脳会談が始まる前までに何とか決着したいということなのでしょうか?

ワシントン支局長 涌井文晶記者:
トランプ大統領としては長く交渉を続けて、米中首脳会談の直前までやるというようなことはあまりシナリオに考えていないのではないかと思います。

ガソリン価格高騰だけではなく、航空運賃、郵便の料金など燃料の値上がりで様々なものが値上がりしています。その中で、共和党の支持者の中でも、トランプ大統領への支持率が低下するという世論調査が足下で増え始めています。これは相当な危機感で、このままいくと中間選挙で負けるのに一直線ということです。

そうならないようにホルムズ海峡の開放、そして石油の流通、ガソリン価格を下げるという方向に1秒でも早く持っていきたい、交渉が進まないようだったらそれは力ずくでやるぞというのがトランプ大統領の現状だと思います。

今後の協議によって日本にも大きな経済的影響が… これを機に“脱石油”

小川キャスター:
双方の犠牲がこれ以上広がらないようにするという意味でも、この停戦協議が進むことを祈りたいところではありますけれども、今後協議がどうなるかによって、経済的な影響は日本も大きく影響を受けるわけですよね。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
この問題が起きた当初からあるエコノミストが、「燃料もだけど、石油化学製品の原材料がなくなることの影響は大変だぞ」ということを2か月ぐらい前に警告してきまして、その通りになってきましたね。

ところで、ここ十数年、日本の原油の輸入は増えていると思いますか、減っていると思いますか。

藤森キャスター:
減っている傾向に向かうべきだとは思っていましたが…。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
実は、原発事故前の2010年に比べると、2025年までの15年の間に36%減っています。

どうして減ったかというと、石油燃料として燃やしているともったいないので、低燃費車の普及や断熱材で暖房をつけて暖かくする、などして減らしました。

咄嗟の応急措置としては大変ですが、これを機会に燃やす分をさらに減らし、石油依存を今までの36%以上に減しなさいという日本への指導だと思うべきです。

それと同時に、石油化学製品もどうしても必要ですが、例えば包装資材をプラスチックから紙に変えることや、先ほどの断熱材も下関のある工務店では、自分たちで古新聞を使って同じような性能のものを作っています。ボイラーで燃やすものも木やチップに変えるなど、ぜひ小さいことだけの取り組みをやっていくべきだと思います。

本当は原発事故の後にやっていなければいけないし、やっている会社は実はやっています。ですが、まだ7〜8割の中小企業は何も手をつけていません。この機会にぜひ前向きに勉強して、しばらくは大変ですができることをやってほしいと思います。

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<プロフィール>
藻谷浩介さん

地域エコノミスト 共著「東京脱出論」
立命館ビジネススクール客員教授

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