
翻訳や通訳をこなすほど日本語に流暢な、在日9年目の中国人YouTuber・むいむいさん。彼女の著書『とある中国人のむいむいの「私たちはどうしても日本にムキになる」』は、生粋の中国人ならではの視点から、愛する「日本」の魅力とリアルな本音をユーモラスに描いた一冊です。
今回は本書から一部を抜粋し、日本人の多くが無自覚に発揮している「特殊能力」の実態に迫ります。
驚異的な歩行回避スキル
突然ですが、人気お笑いコンビ・ミルクボーイさんの「ハトと中国人は全然避けへん」っていうネタをご存知でしょうか?これ、中国人の私が断言します。確かに中国人は、人が近づいてきても避けません!
話に夢中で気づかないことも多いし、気づいても「どうせ相手が避けるでしょ」って思っているから、そのまままっすぐ突き進みます。
もしぶつかっても「あ、ごめん!」とひと言謝って終わり。中国は人が多くてどこに行っても混雑しているから、いちいち気にしていたらキリがないのです。
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日本人はぶつかる前に避けるのはもちろんで、相手がまだ遠くにいるのに視界の片隅に入った瞬間に察知。すれ違うかなり前から、動線がかぶらないようスマートに避けます。
しかも驚くべきことに、日本人は前方だけでなく、後ろから来た人もノールックで避けることができます。ねんねんちゃん曰く、「日本人は後ろにも目がついているに違いない!」とのこと(笑)。気配を察知する能力がすごく高いんですね。
つまり日本人の回避スキルは気配を敏感に察知できるだけでなく、避けるところまでできて初めて完成します。その先の気配りまでワンセットなんですね。中国人はこれができない!
私も日本人の回避スキルを身につけたくて、外ではいつも避ける機会をうかがっていますが、「同時に同じ方向に避けてバッティングしちゃうのも気まずいな〜」とか思って、ギリギリまで相手の動きを読もうとしているうちに先を越されちゃう(笑)。
あと、こういうときに「あっ」ってのけぞるムーヴも日本人ならでは。パーソナルスペースが広いから、いろんな意味で相手に近づきすぎることを避けますよね。男性の場合は、最悪痴漢と間違われちゃう可能性もあるし……。危機回避の目的もあるのかも。
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外来語を再現する変換力
それから、日本人の能力で個人的にすごく面白いと思ったのが、「どんな言語でもカタカナ化して再現する力」。例えばイタリアの「farfalle」というパスタ、日本では「ファルファッレ」というカタカナ表記にして呼んでいます。これ、発音の再現度が高すぎて、もはやイタリア語よりもイタリア語(笑)。発音、難しすぎでしょ!
しかも日本語にはこういう外来語がめちゃくちゃ多いんだから、日本語学習者からすると少々困りものです。
ちなみに「farfalle」を中国語にすると「蝴蝶結意面(蝶結びパスタ)」。意味をそのまま訳しているだけで、音は全く違います。
台湾出身のねんねんちゃんも、「トウファ(豆花)」、「ルーローハン(魯肉飯)」など、地元の料理名がそのまま使われていて驚いたらしい。日本人からすると当たり前のことですが、外国人からするとすっごく不思議で面白いです。
それから、日本人の「まとめる力」は世界一です!? 日本のネットで何かわからないことがあって調べると、目次付きで論文並みに詳しく解説された「まとめページ」が秒で見つかります。中国のネットだと、せいぜいひと言ふた言の回答しか出てこないから、本当にありがたい。
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規則を守る驚きの国民性
「ルールを守る能力とルールを作る能力」もズバ抜けている。以前、外国人アーティストの来日ライブに行ったとき、「NO PHOTO! NO VIDEO!」という注意書きがあって、それを見た日本人はカメラを下ろしたんです。でも外国人たちは構わず撮影していて。それを見た日本人も結局撮り始めましたが、ルールに従おうとする姿勢がすごく日本人的だなって思いました。日本人は納得していなくてもルールがある限り守るんじゃないかな。だから世界的にも信用があるんですよね。
日本のマニュアルも、細かくて本当に充実しています。そして想定外の事態が起きたら学習してすぐに新しいマニュアルに反映させる。その分、マニュアルにないことが起きると、思考停止や大ごとになりがちでは?
従業員の独断によって問題になる可能性もあるため、決められた以外の行動がしにくいのかもしれません。ただし、あくまでも私の主観なのでご容赦を。
ちなみに中国人は、マニュアルは参考程度でルールはあまり守らないけど、その分イレギュラーな対応も得意です。
むいむいの中国人的ヒント
日本人は自覚していないが、特殊なスキルをいくつも備えている。著者:むいむい(梅梅)
中国浙江省臨海市出身。職業:中国人。YouTuber、翻訳、通訳、バイリンガルMC、動画クリエイターなど。幼少の頃から、日本のアニメやドラマ、漫画などのコンテンツに触れて育つ。次第に日本語そのものに興味を持ち始め、高校から独学で日本語の勉強を始める。中国国内の大学の芸術学部グラフィック学科に入学。学生時代に日本語能力試験N2、N1を取得。卒業後、北京でAmazon Kindle部門や広告会社、日本国際交流基金など、さまざまな職を経験しながら日本語の勉強を続ける。2018年に来日。東京アナウンス学院に入学。2020年4月YouTubeチャンネル「とある中国人のむいむい」を開設。2026年3月現在、番組登録者数16.2万人。SNS総フォロワー数は18万人を超える。MBTI診断はINFP型。漢字検定準2級、日本語能力試験N1、実用日本語検定SA認定の資格を持つ。
(文:むいむい)
