地震で土作りの条件が整わず、ミニトマトの作付けが見通せないビニールハウスを見詰める岡田健志郎さん=20日、熊本県八代市 熊本県で最大震度7を記録した地震が、国内最大のトマト産地である八代市に暗い影を落としている。秋以降の出荷に向けた準備が進む中、農業用の水が届かなくなったほか、栽培用のビニールハウス内の設備も損壊。予定通り作付けできない恐れもあり、生産への打撃は深刻な状況だ。
八代市は今回の地震で震度6強の揺れに襲われた。同市などによると、冬から翌年春にかけて出荷するトマト収穫量(2024年)は市町村別で全国1位。例年8月中旬から苗を植え、10月ごろから出荷するサイクルで、地震発生時は次の栽培に向けた準備期間だった。
農林水産省がJAやつしろに聞き取ったところ、今月下旬時点での苗植え付けは予定の約5割となっている。一方、市内では農業用水路が崩壊して、一部で供給が停止。国が復旧工事を進め、給水車や応急ポンプを投入している。県の調査では、地下水の一部で塩分濃度が高いことも分かり、安定した水の確保が課題となっている。
ミニトマトを栽培する岡田健志郎さん(40)のハウスでは、地震で壊れた水路から水が流れ込んだ。修理後も亀裂から染み出しが続き、水たまりが残る。土作りができず作付けが減る恐れもあるといい、岡田さんは「苗を植えられないかもしれないが、できることをやるしかない」と話す。
池田将宏さん(34)のハウスでは、水や肥料を送るパイプが全て破損。液状化で砂などが噴き出し、高所作業用の台車のレールも使えなくなった。井戸水にも異変が起き、くみ上げた地下水が濁ったほか、海が近いためか貝が交じるなどした。
地震直後は「頭が真っ白になった」と話す池田さん。設備は復旧したものの、井戸水への不安は消えない。「トマトは水が命。いつまで井戸が持つか分からないが、出荷に間に合わせるため、その日できることを全力でやりたい」と前を向いた。

地震の影響で濁った井戸水を見せるトマト農家の池田将宏さん=20日、熊本県八代市

井戸水から出た貝を見せるトマト農家の池田将宏さん=20日、熊本県八代市

地震の影響で濁った水が出る井戸を見せるトマト農家の池田将宏さん=20日、熊本県八代市