
eスポーツに、3Dプリンターなど、最新鋭の設備が揃った学校。実は「通信制」なのに「全寮制」。そんなユニークな高校の開校準備が進められています。キーワードは「非認知能力」。点数や偏差値では測れない、“人生を豊かにする力”をどう育むのか、考えます。
通信制高校の生徒数過去最多 10人に1人が通信制喜入友浩キャスター
「こちらNTTの施設なんですが、実はこの中に新たなカタチの高校ができるというんです」
2027年春に開校予定の「ドルトンX学園高等学校」で、8日、メディア向けの見学会が行われました。
喜入友浩キャスター
「こちら情報の授業で使う教室には、8つのAIが搭載されたパソコンが用意されており、さらに3Dプリンターも5台設置されています」
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生徒はオンラインで授業を受ける通信制。学校内にはeスポーツ専用の教室も…
こうした学びを支える通信インフラはNTTが担っています。
NTT東日本 営業戦略推進部 佐野雅啓部長
「世界様々なところに行っても学びを提供できるということは、ネットワークの側面からしっかり当社としても支えていきたい」
実はいま、通信制の高校が全国で増えています。
文部科学省の調査では、通信制高校の生徒が2025年度に初めて30万人を超え、2026年度は過去最多を更新しました。
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いまや、全国の高校生の10人に1人が通信制高校で学んでいるのです。
ドルトンX学園高等学校 古屋輝周校長
「AIの時代にどういう教育が生徒にとって一番いいのかというのを、いろんな取り組みが増えてくるので、今がもしかしたらブームというか、多様に膨れ上がっているのかも」
実はこの高校、通信制でありながら、全寮制でもあります。
喜入友浩キャスター
「ここが寮ということなんですが、ホテルみたいでとても綺麗です」
こちらは2人部屋。収納できるベッドを備えています。
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そして浴場は…
喜入友浩キャスター
「広い、こんな大浴場が寮の中に」
生徒は東京と岩手県一関市、2か所の寮で生活します。
さらに、2年生ではイギリスやインド、マレーシアなど国内外の拠点を3か月ごとに移動しながら学びます。
学費と寮費を合わせると、年間約240万円から。国の就学支援金制度が適用される予定です。
こちらは姉妹校「ドルトン東京学園」での活動の様子。
地域住民や企業などと連携しながら生徒自らが課題を設定し、解決策を探る探究学習に力を入れる予定です。
手がけるのは大手進学塾の河合塾グループ。重視するのは学力だけでは測ることのできない、“生きる力”とも言われる「非認知能力」です。
ドルトンX学園高等学校 古屋輝周校長
「我々の研究だと、非認知能力が上がればその後、学力も上がっていくという傾向は非常に明確に出ている」
その力を育むために目指しているのが、社会とつながりながら学ぶ教育です。
ドルトンX学園高等学校 古屋輝周校長
「社会とつながって、教科の枠を超えて、『自分はなにをしたいのか』ということを考えて、『将来何をやりたい』というところまでをずっと考える3年間になると思う」
藤森祥平キャスター:
学力やテストの成績で測れるものは認知能力です。
非認知能力は忍耐力や協調性、コミュニケーション能力となかなか数字では測り出せないもので、これが人生を豊かにする力なのではないかと注目されています。
▼認知能力→「知的な力」
・学力
・テストの成績
・IQ(知能指数) など
▼非認知能力→「認知能力の土台」
・意欲
・忍耐力
・協調性
・自己管理力
・コミュニケーション力 など
小川彩佳キャスター:
非常に興味深いのが、こういった研究もあるということで、カナダの例です。問題行動が顕著な男の子を対象に非認知能力を伸ばすトレーニングを行ったところ、問題行動が減少。さらに追跡を続けたところ、成人後の年収もこのトレーニングを受けなかった子たちよりも平均で約61万円上昇が見られました。
〈カナダ・モントリオールの例〉
対象:問題行動が顕著な7〜9歳の男児
内容:非認知能力を伸ばすトレーニング
→20歳〜39歳の間で年収が平均 約61万円上昇
これも非常に興味深いデータです。
教育経済学者 中室牧子さん:
これは実は、私が専門にしている教育経済学のど真ん中の研究で、最近、経済学は非認知能力に非常に注目をしています。
非認知能力が高かった人たちは、修学後、あるいは労働市場に出てから、収入が高いのではないかという研究がたくさん出てきたこともあります。
最近はAIによって、認知能力が高いことはあまり価値を持たなくなるのではないかと心配している人もすごく多いと思います。
小川彩佳キャスター:
代替されていくということですね。
教育経済学者 中室牧子さん:
実際に、労働市場で非認知能力の価値が高まっているというような研究は非常に増えてきています。
藤森祥平キャスター:
非認知能力は、どう伸ばせばいいのでしょうか?
事前に伺ったところ、スポーツ経験や音楽・美術活動がいいとされています。
〈「非認知能力」伸ばすには?〉
▼スポーツ経験 →忍耐力・チームワーク など
▼音楽・美術活動→感性・自己表現力 など
教育経済学者 中室牧子さん:
海外では、ソーシャル・アンド・エモーショナル・ラーニングという言い方をして、「SEL」という風に言われます。
スポーツや音楽・美術、メンタリングやボランティアなど、子供自身がとにかく実践をして、努力したり失敗したりを積み重ねながら課題解決をする状況を意図的に作り出す。
そういう教育が注目されていて、実際に非認知能力が伸びたということを示す研究が出てきています。
藤森祥平キャスター:
データ上では、幼ければ幼い方がいいのでしょうか?
教育経済学者 中室牧子さん:
子供の時の方が伸びやすいということは間違いないようです。とは言え、大人が伸びないわけでもないんです。
例えば最近だと、スマホのアプリを使って非認知能力を伸ばすという研究が行われていて、実際に大人の非認知能力も伸びたということがわかっています。
藤森祥平キャスター:
例えば、どのようなアプリを入れるのでしょうか?
教育経済学者 中室牧子さん:
なりたい自分、どういう非認知能力を伸ばしたいかということが非常に重要です。
例えば、より勤勉性を高めたい、誠実で責任感のある自分になりたいと思っていたとします。そうすると、アプリが勤勉性や自己管理能力を伸ばすための行動を提案してくれます。
それを毎日繰り返しているうちに、実際に責任感や自己管理能力が身につき、周りの人から見ても「変わったね」と言われるようになるというのがその研究です。
最近だと、失業した人の再就職のためのプログラムなどに取り入れられているものもあって、失業している間にトレーニングを受けて非認知能力が伸びると、再就職までの時間が短くなったり、就職してから賃金が高くなったりしたという研究もあります。
このような非認知能力を身につけることは、これから教育上、大事になってくるかもしれません。
小川彩佳キャスター:
非認知能力のリスキリングということですね。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」
