「デリカシーがない」川口春奈主演の映画『ママがもうこの世界にいなくても』タイアップポスターにがん当事者らから批判続出…厚労省は「配慮欠けていた」と認め、各病院にもポスター取り下げを依頼へ

103

2026年08月24日 14:20  web女性自身

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

web女性自身

写真

厚生労働省による、10月2日公開予定の映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』のタイアップポスターをめぐり、SNS上で批判が相次いでいる。



映画は、21歳でステージIVの大腸がんと診断された遠藤和さんの実話をもとにした作品。原作は、遠藤さんが亡くなる10日前まで書き続けた日記をもとにした書籍で、川口春奈(31)演じる主人公・遠藤和が、高杉真宙(30)演じる夫・将一とともに、限られた時間のなかで結婚や家族、子どもを持つことを望み、生き方や将来について悩みながら人生の選択を重ねていく姿を描く。映画では、和が「私たちの子どもに会いたい」と願い、「治療を止めるという命がけの選択」を経て出産に至る物語が描かれる。



厚労省の特設サイトによると、今回のタイアップの目的は、同省が今年2月に作成した、15歳から30歳代のAYA世代のがん患者向けパンフレット「15歳〜30歳代でがんと診断されたあなたへ がんの治療と暮らしを支える制度ガイド」を周知すること。パンフレットには、治療や生活を支える各種制度のほか、患者や家族が利用できる相談・支援窓口が紹介されている。



厚労省は今回のタイアップについて、映画の中で「治療と仕事の両立」に悩む姿や、より良い治療法を求めながら必要な情報にたどり着くことの難しさに苦悩する家族の姿も描かれていることを挙げ、「AYA世代のがん患者さんが本リーフレットをご覧になることで、ご自身が利用できる制度や支援を知るきっかけとなることを期待しています」と説明している。事前の告知では、ポスターを「各都道府県や都道府県がん診療連携拠点病院を中心とした、がん分野の関係団体などに掲出する予定」としていた。



同省は8月19日、Xで同タイアップ企画を告知し、「がんの治療と暮らしを支える制度ガイド」というタイアップポスターを投稿。しかし、ポスターは映画のキービジュアルであるウエディングドレス姿の川口と高杉の写真を大きく使用したデザインで、「ママがもうこの世界にいなくても」という映画のタイトルも記されている。



もちろん作品自体は、限られた命のなかでも愛する人と未来を築こうとする姿を描いたもので、作品や支援制度自体への批判は見られない。一方で、がん患者や家族が日々、病気と向き合っている場所に、このタイトルや作品の設定を前面に出したポスターを掲示することについて、Xでは当事者や医師らから「配慮を欠いている」との批判が相次いだ。



《待って、これどういうつもりでやってるの?誰向けのポスター?これがん患者や家族が見たらどんな気持ちになると思う?デリカシーの無さが、信じられない…》
《私は癌サバイバーですが、こんな亡くなる前提の無神経なコピーは張り出すべきでないと思う。皆、望みを捨てずに病と闘っているのです》
《がん患者と家族の心のケアを専門にする医師です。AYA世代へ支援やサービスの周知が必要な点に、異論はありません。この映画が、前向きに生きるがん患者さんの姿であることも否定しません。ただこのポスターでは「AYA世代への生活支援」より「病状悪化の想起や、死への不安」への注目度が高くなり、患者さんやご家族へのデメリットが上回ることを懸念します》
《AYA世代、乳がん罹患者です。利用できるサービスの周知はとても助かります。この映画も素晴らしい映画なのだと思います。ですが、このポスターや記してある言葉は本当に当事者たちのことを考えたものなのか…今一度お考え頂きたいです。私達はこの世界に居るために治療しているのです》



そこで、今回のタイアップを担当する厚労省広報室に、企画の意図や批判を受けての対応について聞いたところ、担当者は”炎上”について「省内でも存じております」として、次のように回答した。



同省は「もともと、この映画とのタイアップ自体については、がんと診断された方に対しての制度概要の周知を目的として実施した」と説明。映画の作中で描かれる「治療と仕事の両立」や、必要な情報にたどり着くことの難しさなどを通じて、がん患者が利用できる制度や支援を知ってもらうことが狙いだったという。



また、タイアップの経緯については、映画の完成後に映画制作側から厚労省へ企画提案があり、そこからタイアップを進めたと説明。今回のタイアップのために新たにパンフレットを作成したわけではなく、「もともと作ってあったパンフレットがある中で、周知に繋がるのではないかというところで、担当課と相談した上でこういった方針を決めました」と話した。



一方、厚労省が制作した特設サイトについては、映画の紹介に一定のスペースを割いているものの、「当省内の広報室で作成して、映画会社担当課も含めて確認の上、出している」として、映画側が主導したものではないと説明。「当方が”この映画がどういったものか”というのを周知した上で、うちの施策を同時にアピールできるような形で」制作したと明かした。



支援制度の周知という本来の目的そのものに異論が出たわけではないが、病院等で掲示するがん患者に向けてのポスターとしては不適切との批判については、「いや、おっしゃる通りですね。こちらとしても、どういった方の目につくとか、そういったことに対しては配慮が欠けていたというところは認識しているところです」と説明。



作品自体の素晴らしさから、広く制度を知ってもらえればとの思いで進めた一方、「がん患者の方々であったり、またご家族の方々の多様な受け止め方等への配慮と言いますか、その観点がちょっと不足していた、検討は十分でなかった」と、今回のポスターについて十分な配慮ができていなかったとの認識を示した。



同省はすでに、事前の告知通りポスターを都道府県のがん診療連携拠点病院などに配布していたものの、「提出については今、『申し訳ございませんが取り下げてください』という形で各病院に依頼をしている」といい、すでに掲示しているところについても「当省の担当課の方からご連絡させていただいて、ポスターを掲出しないようにお願いをしている」と、取り下げを依頼していることを明らかにした。



タイアップ企画そのものの今後については、「この方針については今省内で検討しているところですので、決定次第周知していくという流れになります」と回答した。



がん患者への支援制度を広く周知するという目的は変わらないだけに、厚労省が今回の指摘を踏まえ、当事者や家族により配慮した形で今後対応することになりそうだ。

動画・画像が表示されない場合はこちら

動画・画像が表示されない場合はこちら



このニュースに関するつぶやき

  • 確かに、己がステージ悪くて懸命治療してて幼い子を抱えてて院内でこれ見たら、大泣きする
    • イイネ!52
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(68件)

話題数ランキング

一覧へ

前日のランキングへ

ニュース設定