妻の呪い? 次々に夫が亡くなり四度目の結婚…『ラブミーテンダーにさようなら』作者、初挑戦したwebtoonへの本音

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2025年02月17日 08:40  ORICON NEWS

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LINEマンガ『四度目の夫』(C)Chinami Akio/LINE Digital Frontier
 昨今、日本でも人気を博すwebtoon作品。韓国で制作された作品が多い中、国産のwebtoon作品が勢いをつけている。そんななか、『ラブミーテンダーにさようなら』(LINEマンガ)で話題になった、マンガ家明生チナミ先生初のwebtoon作品となる『四度目の夫』がLINEマンガで連載を開始。何度も夫に死なれている“呪われている”令嬢と、大地主の豪商が“ワケあり”の結婚をする美麗ミステリーロマンスとなっている。明生チナミ先生に本作のこだわりや、webtoonに初挑戦した感想など、話を聞いた。

【漫画】妻の呪い? 関わるとヤバい女性との“ワケあり”婚とは…

■「チナミ先生の新作だ!」ファンからの期待の声にプレッシャーは?

 『四度目の夫』は、「関わると早死にする」と呪いの噂がある、伯爵令嬢・藤林美青(ふじばやしみさお)と、大地主で豪商の富嶋基(とみしまはじめ)が“ワケあり”の結婚することから始まる、ミステリーロマンス。“呪いの噂”を承知で、彼女を妻に迎えた富嶋の狙いとは? 美青の“呪い”の真相は? ミステリーなのにきゅんとしたり、思わず笑ってしまう展開もあり、ストーリーに目が離せない。

――『四度目の夫』は連載初日からLINEマンガの総合ランキングで第1位を獲得するなど話題をよんでいます。こちらの反響について、どう思われますか。

【明生チナミ先生】 初日からたくさんの方に楽しんで頂けて、とても嬉しいです! 普段あまり女性の恋愛モノを読まないような方にも「面白かった」と言って頂いて、光栄でした。

――コメントでは「チナミ先生の新作だ!嬉しい!」「先生ならどんな展開になっても安心して読める、本当に好き!」など、多くの期待の声が寄せられています。このような反響をどう感じられていますか? プレッシャーを感じることはありますか。

【明生チナミ先生】 前作『ラブミーテンダーにさようなら』から、時間が経っていたにも関わらず覚えて下さっていて、ただただ嬉しいです! プレッシャーのお話でいうと、webtoonとレトロな時代設定の、両方に初挑戦という点で不安に感じていました。

■「今を生きている読者にも伝わるように」 時代背景を生かした物語の工夫

――本作は「恋愛×ミステリー」作品となりますが、先生は「ミステリー」作品がお好きなのでしょうか。本作の着想のきっかけを教えてください。

【明生チナミ先生】 webtoonの特徴として、毎回強い引きのある展開を作る事が大事だと思ったので、今回はミステリーを追加しました。ミステリー作品は昔から好きで『金田一耕助』や『名探偵ポワロ』を見て育ったので、その影響を受けています。

――『四度目の夫』というタイトルは、どのようなイメージでつけられたのでしょうか?一見、現代の複雑な夫婦の話のようにも見え、なにか意味があるようにも見え…簡潔ながら想像を掻き立てられるタイトルだと思いました。

【明生チナミ先生】 呪われた令嬢で何度も夫に死なれている…という設定は先にあったので、そこから色々と考えていきました。最初は、「死(四)」や「苦しむ(九)」など、不吉な単語に絡めた数字が候補でしたが、九回はさすがに多すぎるな! と思ったので、「四」回に…。

――なぜレトロな時代背景で描こうと思ったのでしょうか。また、『ラブミーテンダーにさようなら』のような現代が舞台の作品と、今回のレトロな舞台の作品では、ストーリー作りにおいてどんな違いがありますか?

【明生チナミ先生】 レトロな時代背景を選んだ理由は、描きたいテーマが描きやすいからです。また、違いは結婚観や死生観だと思います。今と昔では、自由度がまったく異なるので、その点を生かすことと、今を生きている読者さんにも伝わるように、気を付けながらストーリー作りに励んでいます。

■制作現場に悲鳴が…? webtoon制作の苦労と新たな表現の魅力

――初めてのwebtoon作品とのことですが、過去にwebtoon作品を読んだことはありましたか。

【明生チナミ先生】 はい、以前から読んでいました!ただ、まさか自分がwebtoonを描くことになるとは思っていませんでした。

――先生は、webtoon作品にどのような印象を持っていましたか。今まで横読みマンガを描かれていて、縦読みマンガを描くことに葛藤などはありましたか。

【明生チナミ先生】 横読みの世界から、急に縦読みのカラーマンガを描くのは本当に苦労しました。地元から外国に急に放り出された感じで! でも華やかで「また違う表現が出来るなぁ」と以前から憧れがあったので、いま挑戦する事が出来てとても嬉しいです。

――実際に描いてみて、webtoon作品の面白さ、難しさは、それぞれどんなところにあると感じますか?

【明生チナミ先生】 面白さはスピード感、カラーならではの華やかさ等かと思います。ただ見せゴマの時には、色々と盛ろうと思えば盛り込めるからこそ、情報の取捨選択に苦労しています。ホテルのビュッフェとか、とりすぎてお腹パンパンにするタイプなので…。

――webtoon作品は、着彩・背景などは別の方やスタジオで担当されている場合が多いと聞きますが、今作ではどのように作られているのでしょうか。

【明生チナミ先生】 横モノクロの時と、ほぼ変わらない体制で制作しています。でも作業内容と量が、横モノクロの時と全く違うので、その分アシスタントさんには苦労をかけていますが…。『ラブミーテンダーにさようなら』の時と同じメンバーと担当編集さんと、イチから学び直す機会を設けたりしつつ、毎週迫り来る締め切りに、ホラーばりの悲鳴をあげながらなんとか皆で協力して作っています。

――webtoon作品では、どのような部分を意識して書かれていますか。横読みマンガとは、書き方が異なるのでしょうか。

【明生チナミ先生】 webtoonはミステリーやホラーと相性がいいと思うので、この作品でも緊張感ある画面づくりを心掛けています。

■“呪い”か、それとも偶然か…? 物語を引き込む導入シーン

――冒頭は、次々と夫が死んでいく、それは“呪い”では…というおどろおどろしいスタート。導入でホラー? とも思える気になる描写ですが、読者の興味を引き付けるために意識したことはありますか?

【明生チナミ先生】 三人の夫が死んでる! という現代のゴシップとしても気になるようなエピソードを入れて、ホラーだけど親近感も湧くように意識しました。

――「呪いなんてない」と、夫の富嶋基(とみしまはじめ)はそういう類を一切信じないタイプですが、先生は“呪い”などを信じますか。

【明生チナミ先生】 全く信じてません! ほぼ基と同じ考え方のタイプです。ただそれは、自分の実体験において、今までそういったことに遭遇していないというだけなので…「あるよ」という方の話はすごく興味がありますし、本当にあったら怖いし、面白いなと思っています。

――先生のお気に入りシーンや、生み出すのに苦労したシーンやセリフを教えてください。

【明生チナミ先生】 1話の「明日は晴れるでしょうか?」です。実はこの台詞、(夫の)基のキャラクターに関わってくる重要な台詞でして、のちのち再登場するのですが、その台詞自体がそこにある違和感と、さりげなさの塩梅にすごく悩みまして…。なので、個人的に思い入れのあるシーンとセリフです。

――現在LINEマンガでは18話まで配信されています。美青と千代が見える青い蝶は、美青を守っているのか…“呪い”なのか…これからの展開に目が離せません。ネタバレにならない範囲で、今後の展開・見どころを教えて頂けますか?

【明生チナミ先生】 「蝶」はこの作品において重要なキャラクターです。これ以上はちょっと言えないのですが…引き続き楽しんで頂けると嬉しいです。今後の展開としては、基の暗殺未遂の真犯人探しや、もちろん美青と基の恋模様などなど…見どころ盛りだくさんでお届け予定です!

――本作を通じて、先生が読者に伝えたい、届けたいメッセージを教えてください。

【明生チナミ先生】 誰しも思い通りにいくことばかりではなくて、躓いてしまう時もあると思います。周りから貼られるレッテルや、失敗した時の怖さで進めなくなってしまった時も、自分の気持ちを大事にしてまた歩き出してみよう…と、思えるような物語を描きたいと思っています。

――最後に、すでに読まれている読者、またこの記事をきっかけに本作を知ったという方に向けて、メッセージをお願いします。

【明生チナミ先生】 恋愛ものとしても、ミステリーものとしても、独特な読み味の面白い作品にしていこうと思っているので、ぜひ見届けていただけると嬉しいです。

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