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1970年代後半からの自動車の排ガスによる大気汚染でぜんそくを発症したとして、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知の5都県の患者115人が1日、国と自動車メーカー7社などを相手取り、1人当たり100万円の賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。同様の請求を認めなかった公害等調整委員会の「責任裁定」を不服として集団提訴した。
訴状によると、患者側は有害物質を出すディーゼル車の排ガスによって大気汚染公害が発生することを認識しながら自動車メーカーが製造・販売を拡大したと主張。国に対しては、排ガスの人体に対する危険性が明らかになっていたのに規制を怠ったと指摘している。一部の患者は、沿道50メートル以内に居住や勤務したことで発症したなどとして首都高速道路も訴えた。
この問題を巡っては患者が国や都などに賠償を求めた東京大気汚染訴訟の和解が2007年に成立し、都が患者の自己負担を全額助成する独自制度を始めた。
だが、対象者の新規認定が15年に打ち切られ、患者側は全国一律に全額助成する制度の創設を求めて19年に調停を申し立てた。調停はまとまらず、今年6月に出された公調委の責任裁定は国などの賠償責任を認めなかった。
原告団長の石川牧子さん(69)は「裁定に対してあきらめてしまうのは耐えがたい。患者は高齢化しており、人生の残された貴重な時間を使って裁判で訴えたい」と話した。環境省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【松本惇】
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