『神のお告げ』で大抜擢…大役を全うした美馬学

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2017年04月01日 11:22  ベースボールキング

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見事に開幕投手の大役を務め上げた楽天・美馬(C)KYODO NEWS IMAGES
◆ 金子千尋と互角以上の投げ合い

 いよいよ開幕したプロ野球の2017年シーズン。初戦から延長にもつれる熱戦となった京セラドーム大阪のオリックス−楽天戦は、11回にペゲーロの2ランで勝ち越した楽天が4時間超えの熱戦をモノにした。

 この試合で楽天の先発を務めたのが、プロ7年目の美馬学。自身初めての大役であったが、リーグ屈指の好投手・金子千尋と投げ合い、6回を3失点に抑える力投。見事に大役を務め上げ、チームの勝利に貢献した。

 「全体的には調子はよかったです」と語った美馬。それでも、続けて出てきたのは「最初は一人ひとり丁寧にしっかり抑えることができました。点を取られた5回は球速、コースもまとまってしまい、そこで一度落ち着いて投げることができればよかったのですが...。」「4点を取ってくれたみんなに感謝です。次はピンチの場面で投げ急がず、落ち着いて投げることが課題です」という反省だった。

 本人は厳しい表情を見せたが、右腕が開幕投手に抜擢されるまでの紆余曲折を考えると、誰も文句を言う人はいないだろう。


◆ “2日スライド”で開幕へ

 梨田昌孝監督が開幕投手を明かしたのは、3月27日のこと。「神のお告げ」と冗談を交えての発表となったが、実際この時の楽天先発陣は危機的状況にあった。

 最初のアクシデントは、開幕2戦目で先発する予定だった安楽智大の離脱。22日の練習中に「右大腿二頭筋部分損傷」を患い、全治6〜8週間で開幕絶望。3年目の飛躍に期待がかかっていただけに、がっかりしたファンも多かったことだろう。

 これにより、当初3戦目で先発予定だった美馬が2戦目にスライド。これだけでも大きな変化であったのだが、さらに苦境は続く。

 安楽が離脱してからわずか2日後の25日、開幕投手に指名されていた岸孝之がインフルエンザで離脱の発表。数日の間に開幕2試合分の先発がすっぽりと抜けてしまったのだ。

 チームには4年連続で開幕投手を務めてきた則本昂大もいるが、今年は直前までWBCに参戦していたこともあって開幕戦での起用に関して首脳陣は消極的。そこで白羽の矢が立ったのが美馬だった。

 昨シーズンは自己最多の9勝を挙げるも、防御率は4.30とやや安定感には欠けていた。その前の2年間も2勝9敗・3勝7敗と大きく負け越すシーズンが続いていただけに、『開幕投手・美馬』と聞いた時に驚いたファンも少なくなかったのではないか。

 それでも、指揮官には期待があった。美馬は「持っている」――。


◆ 大舞台で輝く男

 チームが創設初の日本一に輝いた2013年のこと。前年ローテーションに定着して8勝をマークした美馬には、それ以上の活躍が期待されていた。

 ところが、右肘痛による二軍降格を経験するなど、前年以下の6勝でシーズン終了。9月中に優勝を決めたチームの中で苦しい戦いを強いられてしまう。

 それでも、男はもっとも重要な時期に遅れを取り戻した。ロッテとのCSファイナル第3戦に先発すると、なんとそこでプロ入り後初の完封勝利をマーク。チームに勢いをもたらす。

 するとその後の日本シリーズでも第3戦と第7戦で先発し、巨人を相手に2試合合計で11回2/3を無失点に封じる快投を披露。2勝を挙げてシリーズMVPにも輝いた。

 大舞台でこそ輝く男。もしかしたらそんな部分も、指揮官の決断を後押しした要素のひとつかもしれない。


 開幕早々に訪れた窮地を救った「持ってる」男。則本と岸の“二枚看板”だけじゃない。雪辱に燃える7年目右腕にも注目だ。

このニュースに関するつぶやき

  • 野球万事塞翁が馬。。 何が幸いして、何が災いするか分からない。それにしても良く投げたし、ペゲーロもナイスパワーだった。
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