■SNSをにぎわす「旅館のおひつ問題」
突然だが、あなたは“旅館で置かれるおひつの位置”について一瞬でも考えたことはあるだろうか。
じつは今、この問題についてSNSがアツく燃えているのだ。
もとはある女性ユーザーがTwitterに投稿した
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夫と一泊二日旅行に来てるんですけど、旅館で毎回毎回、上座に座ろうが下座に座ろうが妻の方に置かれるおひつとしゃもじが辛くてね。
私はもういいんだけど、外国人観光客にもまさか同じことしてるんじゃねえだろうなって心配になる。お願いだからやめてね、本当…。心配だよ。
という一文がきっかけ。
食事が部屋出しの旅館で、仲居さんがあたりまえのようにご飯が入ったおひつとしゃもじを女性の側に置き「あとはよろしくお願いします」と部屋を後にするシーン、経験した方も多いのではないだろうか。
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あれよあれよという間にこのつぶやきは拡散され、多くの女性たちから共感を呼び、同時に男性陣からは戸惑いを生んだ。
この拡散があらゆる方面に火を点けて、女性側の「こんなモンじゃない!」トークはヒートアップ。「格式あると言われる旅館で上座に座っていたら、女将からやんわり注意された」「男性側のメニューだけ値段が書いてあるのが気持ち悪い」「日本料理の店でバイトしていたが、マニュアルとして作業が必要なものは女性側に置くように言われた」「男性側、もしくは真ん中におひつを置くとクレームが来る」「そもそも無意識の女性差別」と、ありとあらゆる視点からの発言が飛び交い、現在まで収拾がつかなくなっている。
個人的にはこの問題に関して「お、おう……」レベルの立ち位置で、フェミニズム的な意見を語る気はさらさらない。自分が旅館でおひつを近くに置かれて思うのは「まあ、たまにはいいかあー」くらいのモンである。
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さらに旅行は非日常なことなので、そこで「ん?」と感じることがあっても、それを楽しむくらいの方がお気楽で良いのかな、とも思う。女性差別だとピリピリして、外国人観光客への対応を心配するより“日本旅館のしきたりプレイ”くらいにとらえてみるとか。
■飲み会での「居酒屋サラダ問題」
と、ここまではゆるやかに語ってみたが、ワタシが“旅館のおひつ問題”よりモヤモヤするのは“居酒屋サラダ&瓶ビール問題”だ。
おもに仕事関係の飲み会で“サラダは女性が取り分けるもの”と当たり前のように小皿を前にスタンバイしている男性と、“手酌は出世できないから”とワケの分からないことを言って女性、もしくは部下にお酌させようとする男性……このパターンが「いつまで昭和を引きずってるんだよ」と、どうにもモヤる。いや、まだ確実に社会には生息しているんですよ、このタイプの“昭和男子”が。
旅館に2人で行くということは、夫婦であれ、恋人であれ、人に言えない関係であれ、かなり親しい間柄なのだから、おひつを女性サイドに置かれたとしても「もう、後は自分でやってよ!」と相手の方に押しやることも「やだ、奥さんみたい……ふふふ」と妻プレイに入り込むことも可能。だが、仕事関係の席だとそうもいかない。笑って会話を続けながら、意識の何パーセントは対面している人の手許に向けていないと、気が利かないヤツとレッテルを貼られることだってある。
もうじき始まる忘年会シーズン。ここでサラダを取り分けようとしたり、ビール瓶を自分に向ける女性や部下に対して「あとはいいよ、自分でやるから」とさりげなく言えるか、サーブしてくれた相手の顔も見ずに小皿やグラスを当たり前のように手に取るかで、書類には記入されないジャッジがくだされることを“昭和男子”たちは意識した方が良いかもしれない。
素の状態では気を付けていることが、お酒の席でポロっと露わになり、命取りになるバージョンだってあるのだから。
※情報は2017年10月27日現在のものです