<勤め人にとってスーツを着るのはドレスコードを守っていることになるのだろうが、キャリアアップのためにはそれ以上に「身だしなみ」が大事。特に女性は...>
社会人になり所属する会社の一員として働くと同意するとき、同時に会社のドレスコードに従うことになる。それは、特に対人関係が大切な営業に従事する人をはじめ、男女問わずにキャリアアップ、ひいては収入アップに関係すると暗黙の了解があるからだ。
しかし、グルーミング(身だしなみを整えること)についてはどうだろうか。ドレスコードを守るのはクリアしているとして、それ以上にヘアスタイルをセットしたり、メイクアップすることは、昇進や給与交渉において有利な材料となり得るのか。社会学者のジャクリン・ワンとアンドリュー・ペナー(ともにシカゴ大学)は、1万4000人以上の労働者を対象に調査を実施。労働と魅力の関連性を解き明かした。
「収入を増やすためにはきちんと手入れを」
「Gender and the Returns to Attractiveness」と題された研究によると、職場で「きれいに整えられた女性は、努力をほとんどしない人よりもかなり多くの収入を得る」という。
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ここで言う「努力をほとんどしない人」というのは、元の素材の問題ではなく、身だしなみを整えないということ。確かに、メイクをしないとか、ぼさぼさの髪の毛で出社してくる人がいないわけではない。
「要するに、勤勉さというものは働くうえでもちろん助けになるが、収入を増やすためにはきちんと手入れをすることのほうが重要」とワンは指摘する。個人によって素材の違いはあって当たり前だとしても、職場で報われるためには、手入れをしているという行為自体がポイント。
一方、男性の身だしなみは、女性ほど重要ではないそうだ。自分の身だしなみに手を掛けても、ビジネス上のメリットは女性ほどない。厳しいかもしれないが、男性は「実績で判断される」傾向が強いと指摘する。
グルーミング=組織化されている
身だしなみを整えるというのは、個人が組織化されていることを示すための、分かりやすい指標だ。考えてみよう。いくら時間に余裕があったとしても、自宅の寝室からオフィスにそのまま転がり込んできたような姿で出社したのでは、「余裕のない人」や「だらしない」という印象を与えかねない。
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メトロ紙が指摘するように、身だしなみと整えるという行為は、仕事のために「髪のセットとメイクをするのに十分な時間を割いた」アピールになるのだろう。
これに近い現象は学校にもあると同紙は続ける。学校の運営側は、生徒の身だしなみを整えることを推奨し、真面目で賢そうに見せることで、自校のイメージアップを図る。子供の進学先を考えている保護者からの印象が良くなれば、生徒も集まる。身だしなみの行きとどいた生徒を集めることが経営の生産性向上につながるそうだ。
社会人だって同じで、その期待とやり方が大人の世界にまで尾を引くのは理にかなう。何かの仕事に就くとき、その仕事の最も分かりやすい側面を外見で提示できるスキルの有無を会社側が期待するのは、不合理なことではない。
しかしこれらの裏付けは、マニキュア、ヘアブロー、化粧などを無理強いすることになりかねない。「女性がより価値のあるものと見なされるために、『身だしなみ』の名のもとにメイクアップに多くの時間とお金を費やすことを期待しているのだろうか」と、メトロ紙は問いかけている。
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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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