トランプ大統領、痛烈に批判していた金正恩氏を絶賛　さらなる迷言に国民から反発の声

「私のデスクには核ボタンがある。これは脅迫ではなく現実だ」などという脅しで世界を不安にさせた北朝鮮の最高指導者、金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長に対し、アメリカのドナルド・トランプ大統領は「アメリカの核ボタンは、北朝鮮の物よりパワフルだ。きちんと作動するということを伝えてくれ」と北朝鮮を牽制。明らかな敵対関係にあったものの実際に会談をしたところ態度は一変、トランプ大統領は「仲良くなれた」「彼は面白く賢い人間で、有能でもある」「国民を愛する人間だ」といった言葉でおおいに持ち上げた。

これまで金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長と完全に敵対しあっていたドナルド・トランプ大統領が、金氏を絶賛。非常に良い人との印象を受けたとしたうえで「彼との密な関係を築いたことでアメリカはより安全になる」という発言をし、ホワイトハウスでは以下のように記者団に対し述べている。

「核爆弾のせいで、皆さん、そして皆さんのご家族が命を落とすのを私は見たくない。」
「北朝鮮とは良い関係を望んでいる。他の多くの国々ともだ。金氏とは相性も良かったよ。」

またトランプ大統領は『Fox News』のインタビューに応じ、以下の発言で多くのアメリカ国民を唖然とさせた。

「彼は国のトップたる人物だ。それに強いトップという立場を貫いている。彼が口を開けば、北朝鮮の人々はそれにきちんと注意を向けるんだ。“My people”にも同じようにしてもらいたい。」

この‟My people”という表現に「それはない」「米国民はトランプの所有物ではない」と反発した人は多く、「これでは独裁者にほかならない」という声が一気に噴出した。その後、この発言と国民からの反発についてトランプ大統領はホワイトハウスでこう語っている。

「私は冗談を言っただけ。」
「君達は皮肉を理解しないな。」

ちなみに金氏はこれまで多くの国民を処刑・弾圧するなどしてきたとされ、「北朝鮮国民も本当はトップには辟易しているのではないか」との見方が濃厚だ。トランプ大統領は金氏と共に人権について話し合い「サミットでは非常に良い反応を得た」と感想を述べているが、それを平和維持への大躍進とみる人もいれば、結局はトランプ大統領も国民を「わが物」とみなす独裁者であり最低のトップだという声もある。またサミットの結果についても複数の政治専門家が「共同声明には非核化をどう実現するかにつき具体的な内容が欠けている」と指摘しており、「完全に核の脅威がなくなった」と言えるのはまだ先になりそうだ。

画像は『President Donald J. Trump　2018年6月12日付Instagram「＃SingaporeSummit ＃TrumpKimSummit　＃USA ＃NorthKorea」』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部　ケイ小原）