自民党の杉田水脈衆議院議員が「新潮45」8月号上で繰り広げた、性的少数者への差別的な言説が、大きな波紋を広げている。同じ自民党の武井俊輔衆議院議員からも、寄稿の内容について
「一部の特殊な犯罪者やテロリストを除けば、生産性のない人間などいません。劣情を煽るのは政治ではなくて単なるヘイト」
と、批判が出ている。
大阪維新の会に所属する松井一郎大阪府知事は7月23日、自身のツイッターで杉田議員の主張に言及。朝日新聞が報道した杉田議員の記事を引用し、「オカマもゲイも納税者だから生産はしてるでしょ」とコメントした。しかし、「オカマ」という表現や、経済的生産性の有無を人間の評価基準とする発言内容に「なんでLGBTを言い換えたん?」「二重三重におかしい」などと批判が集中。翌日24日にはツイートを削除する事態になった。
「生産性(納税)で足切りするのが当然のように言われても」
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杉田議員が寄稿の中で言っている「生産性」は子どもを産むか産まないか、つまり、人口の再生産に寄与するかどうかという意味での生産性だ。労働に関する生産性の話ではない点で、松井知事の指摘は視点がややずれている。また、納税しているので生産性があるという主張は、働けない人や、事情があって税金を収められない人を切り捨てるニュアンスを含んでしまっている。
そもそも、杉田議員、松井知事両者に通じることだが、人間を生産性の観点で見るのはどうか、という疑問も当然生まれる。ネットでは、今回の発言に対して多くの疑問や批判コメントが寄せられた。
「『生産性で人を切るな』って話をしたいのに、これが味方な訳はない。しかもわざわざ『オカマ』。では生産できないマイノリティは?マイノリティだからこその不利もあり生産出来ないなら、こんな発言地獄だろ」
「納税=生産って。杉田水脈もだけど国民をなんだと思ってるんだ」
「いやいや、生産性(納税)で足切りするのが当然であるかのように言われても困る」
松井知事としては、杉田議員の発言に反対意見を示すことで自身の政治的立場を補強したかったのかもしれないが、配慮に欠けた呟きで、自分の首を締めてしまった形だ。
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「性的マイノリティの皆さんも日本社会の中で様々な生産に携わっています」
松井知事は7月24日、該当のツイートを削除し、
「昨日のツイートに不適切な表現がありましたので、謝罪して訂正致します。性的マイノリティの皆さんも日本社会の中で様々な生産に携わっています」
と訂正している。