マスコミと政府が「独立運動記念日の韓国は反日で危険」と煽動も実態は…ツイッター韓国現地レポの“ほのぼの”ぶり

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2019年03月03日 07:00  リテラ

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リテラ

外務省HP『海外安全情報」から

 昨日、韓国では「三・一独立運動」から100周年を迎え、ソウルで政府主催の記念式典が催され、各地でも集会やデモがおこなわれた。



「三・一独立運動」とは、1919年に朝鮮半島で起こった日本による植民地支配に抵抗して起きた運動のこと。レーダー照射問題以降、“嫌韓”ムードを必死に煽る日本政府だが、この独立運動記念日に際しても、外務省は韓国への渡航について、こんな「注意喚起」情報を出した。



〈韓国への滞在・渡航を予定している方や滞在中の方は,最新の情報に注意し,デモ等が行われている場所には近づかない等慎重に行動し,無用のトラブルに巻き込まれることのないようご注意ください〉



 さらに、この外務省の「注意喚起」に対して、自民党の小野田紀美・参院議員は、こんな投稿をおこなった。



〈外務省から、韓国に渡航する方への注意喚起が出ております。遅きに失するうえに甘い…危険情報のレベルを1、2に上げるべきだという意見も外交部会でありましたが、結局それはなされず。渡航される方、よくよくご自身の安全を考えて下さい。〉



「注意喚起が甘い」「安全を考えて」という言葉には物々しさしかないが、そもそも外務省による危険情報のレベル2といえば「不要不急の渡航は止めてください」というもの。現在は、武装組織によるテロがたびたび発生しているシリアとの国境にも近いトルコの一部地域や、衝突が散発的に発生しているというレバノンの一部地域などに発出されているレベルだ。そのような地域と同様に、韓国への不要不急の渡航は止めろ、と主張する自民党議員がいたというのである。客観的な情勢分析でなく差別的感情で危険情報を上げるなど、まともな近代国家とはとても思えない。



 しかも、こうした主張に丸乗りしたのが、メディアだ。



 たとえば、昨日1日放送の『とくダネ!』(フジテレビ)では、トップから「きょう“反日”1万人集会 渡航者に注意喚起も」とテロップを出して報道。式典準備中の広場から中継までおこなって「韓国国内では日本への批判がさらに高まることが予想」と伝え、司会の小倉智昭もこう発言した。



「旅行で韓国、ソウルとかにお出かけの方もいらっしゃると思うんですが、きょう3月1日という日はちょっと心配」



「これを機に、また反日の気運が高まったりすると日韓関係もややこしくなりますからねえ。なるべく穏やかにしてほしいと思いますが」



 ほかのワイドショーでも文在寅大統領の「親日清算」という言葉を取り上げ、「親日」というのは韓国では「大日本帝国の植民地支配に協力した者」を意味する用語であるにもかかわらず、あたかも現在の日本と友好関係を否定したかのように、誤用・混同し日韓の対立を煽り立てていた。



 独立運動記念日に韓国中が「反日」を叫び、日本人が危険に晒される可能性が高い。安倍政権とメディアは、そう煽りに煽ったのである。



 果たして日本政府やメディアが主張するように、独立運動記念日の3月1日、韓国で日本人は危険な目に遭ってしまうのか──。多くの人が注目するなか、Twitter上では、こんなハッシュタグが登場した。



「#在韓日本人現地レポ2019年三一節その時私は」



 結果、Twitter上には、このハッシュタグをつけた、韓国に住む日本人や韓国を旅行中の人たちが「現地レポート」を続々と投稿。



 そして、そこで伝えられたのは、「韓国が危険」「反日ムード高まる」「日本人は身の安全を守って」という安倍政権やメディアが喧伝した空気とはまったく違う韓国の街の様子と、旅行や韓国ライフを楽しむツイートの数々だった。



●在韓日本人や旅行客が「普通のお祭り」「TWICEの曲を日本語で踊ってた」



 その一部を紹介しよう。



〈3.1ソウル駅前。AREX乗ろうと駅前通ったけど、別に罵倒されたりするわけでもなく普通のお祭りだったよ。それよりお気に入りのコンナムルパプ(編集部註・豆もやしご飯)を見て欲しい。〉

〈サムギョプサル食べて〜ビビンパ食べて〜ソルビン食べて〜カフェラテ飲んで〜楽しい韓国旅行でした〉

〈確かに新村とかウリナラ万歳的なイベントやってたけど、本人達が盛り上がってるだけだから通りすがりの人が何人かとか見てないし、それよりSPAO(編集部註・韓国のファストファッションブランド)のセールの方に夢中な人も多数。〉

〈日本人が運営するパン屋&レストランで働いております。メニューもかなり日本色の強い弊社ですが、昨日も至って普通の祝日でありました。〉



 日本人だから何か危険な目に遭ったという報告は、いまのところ見当たらない。さらに、〈ホンデのバスキン(編集部註・路上パフォーマンス)では、TWICE等の曲を日本語ver.で踊っていた〉〈カルメギサル(編集部註・豚ハラミ)のお店ではTWICEとバンタンの日本語バージョンが流れてた〉〈飲食店では東方神起の日本語曲が当たり前かのように流れてた〉という報告も。もし、日本政府やメディアが言うような「反日感情がもっとも高まる日」だったとしたら、韓国アーティストの日本語曲を流すことなどご法度のはずだが……。



 一方、寄せられた投稿を見ていると、このような意見がかなり目立った。



〈1番の敵はミセモンジ〉

〈ただただ1人でミセモンジと戦っていました〉

〈ミセモンジがとにかく酷かった〉

〈今日はミセモンジが深刻すぎた〉

〈ミセモンジが本当にやばい〉



 ミセモンジ……? もしやこれは「反日」的な何かを指す韓国語なのか──と思いきや、じつはミセモンジというのは微細粉塵(PM10)のこと。いま、韓国では大気状態の悪化が深刻になっており、独立運動記念日のこの日もひどかったらしい。つまり、韓国に住む日本人や旅行者が独立運動記念日に襲われたのは、「反日」感情の高まりによる危険などではなく、この「ミセモンジ」だった、というわけだ。



●反日どころか、韓国の人たちに親切にされたツイートも続々



 また、このハッシュタグでは「ミセモンジ」問題のほかにも、思わずほっこりする、こんなツイートも多く寄せられた。



〈大規模集会をしていたソウル駅付近の店でクルクッパ(編集部註・牡蠣のクッパ)の店に入ると私が日本人と分かるやいなや日本語メニューを優しいアジュマ(編集部註・おばさん)が持ってきてくれた。追伸、クッパ、美味しかった。〉

〈特別な出来事といえば死んだような顔して電車乗ってたらアジュンマが『あんた!私降りるからあそこはやく座りなさい!』と強引に座らせられたぐらいでした(私は一瞬で日本人バレするタイプです)〉

〈鐘路のカフェで日本語教えてたら、隣に座ってたおっちゃんに「わしも日本語勉強したいんやけど…どうやったらいいんや?家族を日本に連れて行きたいんや!」と絡まれ、最後に相談に乗ってくれてありがとうと胸ポッケからあったかい飴ちゃん出してくれたwww〉

〈カンナムでタクシーに乗った。日本人とわかると運転手さんに「俺は沖縄に住みたいんだ♪」って言われて楽しく会話した。 最後は「旅行楽しんでね〜♪」って降ろしてくれた。〉

〈シンチョンでコプチャンを食べて、ホンデで日本から来てくれた友達と話題のタピオカのお店へ。タピオカやさんのお兄さんは友達が日本人だとわかると日本語で丁寧に接客してくれました。タピオカおいしかったなぁ。〉



 3月1日の韓国のさまざまな場所で交わされた、ささやかだけれど心温まる交流。どんなに国が関係悪化を強調して“嫌韓”ムードを煽っても、それとは関係なく、人と人はこうやって、親切にし合ったり、コミュニケーションを深めたり、互いの文化を認め合ったりしながら、分断を越えて結びついてゆくことができる。──はからずもこのハッシュタグは、そんなシンプルで大切なことを教えてくれたのだ。



 最近、日本のメディア、とくにワイドショーは「反日」という言葉を使って“嫌韓”を煽るネタばかり取り上げている。テレビをつけると暗い気分になるが、しかし、きょうも市民どうしの交流は生まれつづけている。メディアの空気の醸成に惑わされることなく繋がり合う人たちの存在は、いま、とても大きな希望だろう。

(編集部)


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  • 慈恩弘国の常連のI島さんから聞いた話。30年程前に高校の修学旅行で韓国に行ったそうです。続く
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