砂浜に戻ったつもりのカメ、産卵したのは新空港(モルディブ)

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2019年04月14日 13:12  Techinsight Japan

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新空港で産卵したカメ(画像は『adam nasym 2019年4月9日付Twitter「Maafaru Airport」』のスクリーンショット)
約1200の島々からなり26の環礁を連ねるモルディブは「インド洋の真珠の首飾り」とも呼ばれ、白い砂浜や透き通る海には世界中から多くの観光客が訪れる。しかし近年はゆるやかながらも開発の波が押し寄せており、島に棲息する希少な野生動物も危機的な状態に晒されているようだ。『The Edition』などが伝えた。

首都マレから約150キロ北に位置するヌーヌ環礁(Noonu Atoll)に、最初のリゾートホテルが建てられたのは2008年だった。その後はゆっくりと開発が進んできたが、2018年にはアラブ首長国連邦の「アブダビ・ファンド(Abu Dhabi Fund for Development)」により6000万ドル(約67億2千万円)の支援を受け、長さ2200メートルの滑走路を有する国際空港「Maafaru Airport」が建設された。

そして今月9日、その滑走路で1匹のカメが産卵した様子がTwitterに投稿された。コンクリートの上には3つの卵が確認できる。

『The Independent』によると、このカメは国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されているアオウミガメで、その数は激減しているという。産卵できる砂浜の減少や海の汚染、卵や成長したカメの乱獲、漁業用の網などに引っかかるなどその原因は様々だが、人間の活動が大きく影響していることは間違いない。モルディブには世界に7種いるウミガメのうち5種が観察されており、待ったなしの保護活動が必要なのは言うまでもない。

世界中の海を泳ぎ生息地を次々と変えるウミガメだが、メスは産卵期になると自分が生まれた砂浜に帰ってくる習性があると言われている。空港がある地元の協議会は、新空港ができたことで島に戻ってくるカメの数が減少していないことを強調しているが、故郷の砂浜を失ったカメたちの繁殖に今後どのような影響が現れるのか、非常に危惧されるところだ。

ちなみにこのアオウミガメはその後、地元の人によって保護され海に戻されたことが分かっているが、SNSには次のようなコメントが寄せられている。

「砂浜を目指して必死に長い距離を泳いできたのに、滑走路? なんて残酷なんだ。」
「悲しい話だよね。観光業が自然に及ぼす影響について、全く考えていない。」
「心が痛い。こんな開発をして何の意味があるんだ。」
「絶滅危惧種のカメがやってくるビーチを潰したの? きちんとリサーチしたわけ?」
「豊かな自然を破壊しているのは人間。きっとしっぺ返しが来るよ。」

ヌーヌ環礁の開発はこれだけに留まらず、今後新たなホテルの建設も予定されている。自然といかに共存していくか…ウミガメが絶滅してからでは遅いのである。

画像は『adam nasym 2019年4月9日付Twitter「Maafaru Airport」』『Daily Mail Online 2019年4月11日付「Endangered turtle returns to Maldives beach to lay its eggs - only to discover a runway has been built on historical nesting site」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

このニュースに関するつぶやき

  • たしか中国の一帯一路戦略で作られた空港ですね。儲からなかったら中国が差し押さえるそうですね。辺野古の埋め立てよりも環境破壊ですね。でも『晋三病』の方々はダンマリですね。
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