『アラジン』ジーニー役でさらにパワーアップ! 「七色の声を持つ」山寺宏一のマルチな活動

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2019年07月07日 14:31  リアルサウンド

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 映画『アラジン』の吹き替え版で、ウィル・スミスが演じるジーニー役として、高評価を得ている山寺宏一。アニメ版『アラジン』(1992年公開)でもジーニー役の声優を務めており、日本ではジーニー=山寺宏一という印象がもともと強い。今回の映画ではその単なる焼き直しではなく、ウィル・スミスらしいコミカルさも細かく表現されていて、“山寺ジーニー”がさらにパワーアップしていると評判だ。俳協演劇研究所で演技を学び、1986年から東京俳優生活協同組合に所属。2008年からは、アクロスエンタテインメントに籍を置き、声優・ナレーター・役者・タレントなど幅広く活躍することで、「七色の声を持つ」とも呼ばれる山寺宏一のすごさとは?


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・役の振り幅の広さがすごい!
 洋画作品の吹き替えでは、『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズのエディ・マーフィが有名だ。他に『ラッシュアワー』シリーズのクリス・タッカー、ジム・キャリー、マイク・マイヤーズなどで、吹き替えを担当し、洋画の世界ではコメディ作品が目に付く。日本のアニメ作品では、『新世紀エヴァンゲリオン』で、敵とも味方ともつかないミステリアスな加持リョウジを演じた他、『カウボーイビバップ』では、クールな主人公のスパイク役で知られている。


 子供も楽しめる作品にも多く出演している。『それいけ!アンパンマン』では、名犬チーズをはじめ、カバオくん、かまめしどんなど複数の役をひとりで演じ分ける。声優が自分の役以外にガヤの声も担当することは少なくないが、同じ作品で役名のついた役柄を複数担当するのはレア。『アンパンマン』のキャラ数の多さもあるが、山寺の器用さがあればこそだ。また『アラジン』を筆頭に、ディズニー作品とは縁が深く、『美女と野獣』『ムーラン』『リロ・アンド・スティッチ』など10役以上を務めていて、ドナルドダックの声はあまりに有名。スティッチやドナルドなど、何だか分からない言語を発させたら、山寺は天下一品だ。


 このようにコメディからクール、ヒーロー、三枚目、そして人間以外まで。その役のキャラクターを印象づける声と演技力で定評がある山寺。先輩の声優からも一目置かれ、後継者として指名される機会も多い。例えば銭形警部は、故・納谷悟朗に代わって、2011年『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』から登板し、山寺が演じるクールでキレ者の銭形警部像が、今では広く定着している。また、富山敬の後を継いだ作品も多く、『宇宙戦艦ヤマト復活編』では、主人公・古代進、『同・2199』ではデスラー総統を演じた。


・マルチにもほどがある活動の幅がすごい!
 活躍の場は、アニメ声優だけに止まらない。さまざまなテレビ番組でナレーターを務めていて、きっと知らないうちに山寺の声に触れているはずだ。例えば衝撃的展開の連続で話題のドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)では、ダイジェスト映像のナレーターを務め、ユーモアたっぷりのナレーションでドラマの面白さを後押しした。NHK『ガッテン』など、バラエティ番組のナレーション経験も豊富。また6月に放送された『世にも奇妙な物語 雨の特別編』(フジテレビ系)内「永遠のヒーロー」では、ナレーションだけでなく怪人・マスターカイザーの声から、その手下たちまで複数の役を1人で演じて、その技術を存分に発揮していた。


 役者としても数多くの作品に出演。NHK連続テレビ小説『なつぞら』に豊富遊声の役で出演したことは記憶に新しく、日本のアニメーション黎明期を描いた作品に、ベテラン声優の山寺が出演したことがネットでも話題となり、再登場に期待の声が寄せられている。実は、1990年から舞台に立ち、ほぼ毎年いくつかの舞台に出演していて、役者としての経歴もベテランだ。昨年は、声優・水島裕、演出家の野坂実と共に3人で旗上げした演劇ユニット“ラフィングライブ”の第四回公演『パパ、アイ・ラブ・ユー!』を成功させている。また9月には、東京・天王洲銀河劇場で開催される『今、僕は六本木の交差点に立つ』に出演する。人気声優の多くは、舞台経験を持つ者が多く、山寺もその代表的な1人だ。声優としての演技の実力は、豊富な舞台経験によって支えられているとも言える。


 さらに歌手としても、1990年にシングル「GLORY DAYS」でデビューし、1991年〜1995年には、日高のり子・山寺宏一・関俊彦でユニットのバナナフリッターズとして活動。2012年には、チャリティソング「花は咲く〜アニメスター・バージョン〜」で、水樹奈々とデュエットで、素晴らしい歌声を披露している。その他にも、『ものまねグランプリ』で数々のものまねネタを披露、テレビ東京『おはスタ』の司会、ラジオではバズーカ山寺と名乗ってのマシンガントークを繰り広げるなど枚挙にいとまが無い。


 山寺は、数多くの作品との出会いによって、マルチな才能を開花させてきた。しかし、これだけ数多くのことをやってはいるが、それは声優というブレない柱があればこそだろう。しっかりした柱があり、それが糧になるという信念があればこそ、何事にも怖れず、しっかりハジけられるということ。山寺宏一のすごさは、声優に始まり声優に帰ることのできる信念と、すべての経験を吸収し糧とすることのできる柔軟性にある。


 ディズニー公式サイトで山寺は、『アラジン』について「”人は誰でも出会いによって変わる事が出来る”という事や、”自分にとって本当に大切なのは何か”を気づかせてくれる作品だ」と、コメントしている。実に経験が伴った言葉だ。 (文=榑林史章)


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