女性客の命を救った15歳のマクドナルド店員(画像は『New York Post 2021年12月21日付「McDonald’s worker jumps through drive-thru window to save customer」(KARE-TV)』のスクリーンショット) アメリカのマクドナルドにて今月18日午後、ドライブスルーで注文を待っていた女性が先に手にしたナゲットを食べて喉に詰まらせてしまった。対応していた15歳の女性店員はすぐさまカウンターを飛び越え、ハイムリック法で迅速に女性客を救った。女性店員の父親は「自閉症を抱える娘は、学んだことを全て完璧に覚えている」と明かしている。『New York Post』などが伝えた。
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女性客の命を救ったとして称賛を浴びているのは、米ミネソタ州ヘネピン郡エデン・プレイリーにあるマクドナルド店舗で働くシドニー・ラリーさん(Sydney Raley)だ。15歳のシドニーさんは、同店舗で働き始めて7か月ほどだという。
その日、朝のシフトに入ってドライブスルーで注文を受けていたシドニーさんは「いたって普通の日でしたね。コーヒーやドリンクを作り、もうすぐランチタイムの忙しい時間帯になる頃でした」と当時を振り返っている。
しかし注文を受けた女性客の商品を一部渡した後、「残りはもうすぐできますよ」と伝えにシドニーさんが注文カウンターへ戻った時のことだった。車の中で待っていた女性が激しく咳き込んでいたのだ。
「助手席に座っていた娘さんは苦しむ母親の姿を見て酷く怯えていました。それを見てすぐに『この女性は喉に何かを詰まらせている』と察しました。」
喉を詰まらせ苦しむ人を目の前にすれば、多くの人は頭が真っ白になってしまうはず。しかしシドニーさんは15歳とは思えぬ行動力で女性の危機に立ち向かった。
まず近くにいたマネージャーと助手席に座っていた娘に救急車の要請を行い、ドライブスルーカウンターを飛び越えて苦しむ女性のもとに駆けつけた。そして11歳の時に赤十字社のベビーシッタークラスで学んだというハイムリック法を思い出し、すぐに実践した。
ハイムリック法とは、喉に詰まらせた異物を除去する応急処置だ。シドニーさんは女性を車から降ろして数回試してみたが上手くいかず、近くにいた人に応援を求めて再度ハイムリック法を試みた。すると女性の口からナゲットが吐き出され、無事に女性は窒息から解放された。
その後、通報を受けて到着したエデン・プレイリー警察の警官2人がシドニーさんの迅速な対応に敬意を表し、合計100ドル(約11000円)を手渡した。これは市民が卓越した良い行いをした場合に提供できるように用意されている基金からのお金で、全ての警察官が50ドル(約5500円)ずつ誰かに手渡せるように持っているものだという。
シドニーさんの両親であるトムさん(Tom)とステファニーさん(Stephanie)は当時、仕事終わりのシドニーさんを迎えに来ていた。店舗の前に救急車やパトカーが止まっているのを見て娘に何か起きたのではと心配し、「どうかシドニーのためではありませんように」と祈っていたそう。しかし近くで座って迎えを待っていたシドニーさんの姿を見つけて安堵した。
「シドニーは自閉症を持っているので、厳しい状況に直面するのではといつも心配しています。ですが今回は予想していたのと180度違う結果が起きていましたね。」
「シドニーは学んだことを全て頭の中に台本があるかのように覚えられるので、以前学んだハイムリック法をすぐに実践できたことに驚きはありませんよ。」
同店のオーナーであるポール・オスタガードさん(Paul Ostergaard)は「シドニーさんの迅速かつ英雄的な行動が、大切なお客様の命を救ったことをとても誇りに思っています。シドニーさんのように高く評価された人物をクルーとして迎えることができ、本当に幸運です。これからもシドニーさんの勇気ある行動を称え続けていきたいと思います」と語った。
多方面から称賛を受けたシドニーさんは、今回の件により「自分が社会に貢献し、変化を生み出すことができる人間なんだと感じることができました」と自信が持てるようになったと話している。
画像は『New York Post 2021年12月21日付「McDonald’s worker jumps through drive-thru window to save customer」(KARE-TV)(Courtesy Sydney Raley)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)