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駐輪場が設置されたマンションやアパートでは、住民以外の利用を防ぐため、あらかじめ使用登録することが多い。
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そんなマンションに最近、引っ越したばかりの都内の男性会社員(30代)は、利用登録していなかった自身の自転車に「予告なしに撤去し、費用を請求する」「一切のクレームは受け付けない」と書いた警告書が貼られ、驚いたと明かす。
男性会社員は「申請していなかった自分が悪いんですが…」と前置きした上で、「引っ越しが落ち着いたら、管理会社に申請するつもりでした。ところが引っ越しして3日もしないうちに、そんな警告書が貼られ、驚きました」と話す。
この男性によれば、たしかに不動産会社との契約時に「自転車を持ち込む場合は、駐輪の申請や駐輪料金の支払いが必要」と聞かされていたという。
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しかし金額もわからない撤去費用の支払い、一切のクレームは受け付けないという管理会社の姿勢には納得がいかないようだ。もし請求された場合、男性は支払わなければいけないのだろうか。池田誠弁護士に聞いた。
ーー契約していなかった住人もよくないですが、だからといって撤去されても文句は言えないのでしょうか
原則としては、たとえ契約せずに勝手に駐輪をしていたとしても、その自転車をマンション側が勝手に撤去し、その撤去費用を請求することは許されません(いわゆる「自力救済の禁止」)。
もっとも、だからと言って、無断駐輪をしても何の支払義務も負わないのかというとそうではありません。契約に基づかずに駐輪場を利用していることになるので、駐輪料金相当額の不当利得返還請求を受けたり、違法な駐輪であるとして損害賠償請求を受けたりすることになります。
ーー管理会社側の言い分が通ることはないのでしょうか
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例外的に、無断駐輪時に撤去され、撤去費用が請求されることについて合意がある場合には、その合意に従って撤去され、撤去費用を請求されても文句は言えないことになります。
合意が成立している場合としては、当該マンションの住民で、マンションの駐輪場管理規程等に同旨の規定がある場合や,無断駐輪時の処置が駐輪場を利用する方々に対して明確に分かるように掲示されている場合などが想定されます。
今回のご相談では、そもそもこの男性はマンションの住民であるため、駐輪場管理規程等に無断駐輪時の処置が明記されていれば、その内容に合意したものとして、撤去され、撤去費用の請求を受けても文句は言えないことになりそうです。
また、張り紙で警告を受けていますので、その警告後に同様の態様で駐輪をした場合には、やはり警告の内容に合意をして駐輪したと評価される可能性があり、撤去と撤去費用の請求を受けるおそれがあります。
ただし、合意の成立が認められ、撤去費用の請求が現実に認められるためには、請求される撤去費用が合理的な金額の範囲に収まっている必要があることも重要であると考えます。
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不合理に高額な撤去費用が請求されると分かっていればそもそも合意をするはずはありませんし、仮に合意が成立するとしても合意の内容としては合理的な範囲の撤去費用の負担についてしか及ばないと評価される可能性が高いからです。
【取材協力弁護士】
池田 誠(いけだ・まこと)弁護士
証券会社、商品先物業者、銀行などが扱う先進的な投資商品による被害救済を含む消費者被害救済や企業や個人間の債権回収分野に注力している下町の弁護士です。債権回収特設ページURL(https://nippori-law-saikenkanri.com/)
事務所名:にっぽり総合法律事務所
事務所URL:https://nippori-law.com/
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