◆ 球団新記録の38S
ロッテが2年連続で2位となったのも、守護神・益田直也の存在が大きいだろう。
昨季54試合に登板して、リーグ2位の31セーブ、防御率2.25の成績を残し07年以来13年ぶりの2位入りに大きく貢献した益田だったが、今季は初登板となった3月27日のソフトバンク戦から2試合連続で敗戦投手と躓いてしまう。
それでも、立て直すのが益田だ。今季3試合目の登板となった4月1日の楽天戦で無失点に抑えると、この試合から6試合連続無失点。5月は月間リーグトップタイの8セーブ、月間防御率0.90をマークした。
6月に入ってからその安定感はさらに増していった。3−3の9回にマウンドにあがった6月6日のDeNA戦で、二死二塁から大和に適時二塁打を浴び、サヨナラ負けを喫したが、この試合を最後に6月8日のヤクルト戦から9月25日の西武戦にかけて30試合連続でセーブ機会、同点の場面での失敗がなく、この間の投球成績は30試合・30回を投げて、1勝20S、防御率は0.90。
特に9月は3日〜5日の日本ハム戦、8・9日のオリックス戦・10日の楽天戦、14日〜16日のソフトバンク戦と、3連投が3度あり、8月24日の週は1週間に4度登板するなど、登板数が増えたなかでも安定した投球を披露し続けた。
9月25日の西武戦では3−1の9回に登板し、山川穂高、呉念庭、柘植世那に対して全12球オールストレートで試合を締めた。
9月30日のオリックス戦で3−1の9回にT−岡田に逆転3ランを浴びたが、10月以降もセーブを積み重ね、10月25日の日本ハム戦では球団のシーズン新記録となる38セーブ目をマーク。同日のヒーローインタビューでは「コーチをしてくださった小林雅さんの記録を抜くことができて、嬉しく思います」と喜んだ。
◆ 来季こそ歓喜の瞬間を!
チームは惜しくもリーグ優勝を逃したが、益田が勝ち試合はもちろんのこと、同点の場面で登板し、1イニングを無失点に抑え、引き分けで終えることができたからこそ、2年連続でシーズンを2位で終えることができた。また同点の9回裏のマウンドは、ファンの多くが引き分けを計算して、抑えて当たり前という心境で応援していたことだろう。様々なプレッシャーを跳ね除け、きっちりと抑えてくるのはさすがだった。
この2年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20年は開幕が遅れ試合数は120試合となり、今季も東京五輪による約1カ月の中断があるなど、不規則な日程だったなかで大きな故障なく過ごした。パ・リーグの他5球団の守護神を見渡しても2年連続で、故障や不振がなく抑えを全うしたのは益田だけ。首脳陣の登板管理もあるが、益田自身も故障しないように体を作り上げたことも大きいだろう。
2年連続で2位になったとはいえ、目指すのはあくまでもリーグ優勝。今季は優勝マジックを「3」まで減らしたが、最後は涙をのんだ。来季こそ守護神・益田が、リーグ優勝の歓喜のマウンドに立っている瞬間を見たい。
文=岩下雄太