社会人として働いていると、理不尽な経験は少なからずあるものだ。だからといって、仕方ないと思えることと思えないことがある。愛媛県の50代女性(年収100万円未満)は、医療従事者として公立の総合病院に勤務していた当時の、理不尽なエピソードを綴った。(文:林加奈)
「子どもたちは、ただ移動してホテルに泊まっただけになりとても悲しそうでした」
女性は当時、小児科病棟で3交代勤務をしていた。「有給休暇は有って無きが如しだった」ため、まとまった休みはほとんどなかった模様。ある時、「土日祝日を振り替えた週休や夜勤明けを組み合わせて2泊3日の予定で子どもたちと旅行に行きました。連休はめったに取れないので、奮発して良いホテルの良いフロアに宿泊しました」という。ところが
「2日目の朝、上司から電話がかかってきて、スタッフに1人インフルエンザが出たので、今夜の夜勤に出てほしいということでした。関西圏の旅行先であること、子どもも連れており日程変更は無理であることを伝えましたが、何度も何度も電話があり、私しか出勤できる人がいないと言われ、仕方なくホテルをキャンセル」
「帰りの船(個室)もキャンセルし、新幹線と在来線を乗り継いで帰りました。子どもと3人でずっと立ちっぱなしの異動はとてもハードで、ホテルも船もキャンセル料は100%かかり、もちろん職場が出してくれるはずもなく、さらに新幹線や在来線の費用も掛かったので、損害額は20万円弱。年に1度の旅行を楽しみにしていた子どもたちは、ただ移動してホテルに泊まっただけになりとても悲しそうでした」
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家族の楽しみを犠牲にしてまで出勤させられた女性。なんともやりきれない話で終わるかと思いきや
「後でわかったのですが、本当に私しか出勤できる人がいなかったわけではなく、上司や主任が自分が夜勤をしたくなかっただけであったと周りのスタッフからそっと聞かされ、怒り心頭でした」
と、さらに理不尽な後日談も。無理な休日出勤をさせた結果、20万円近くの損害が出ていることと、旅行を楽しみにしていた子どもたちをも悲しませていることを、上司や主任はわかっているのだろうか。