◆ ソフトバンク投手陣に抑え込まれた打線
ロッテは開幕カードのソフトバンクとの3連戦に3連敗を喫し、4日から本拠地・ZOZOマリンスタジアムでの日本ハムとの3連戦に臨むことになった。
開幕カードの3連戦では、2試合連続完封負けを喫するなど、奪った得点はわずかに3点。昨季もそうだったが、気になるのは立ち上がりに相手先発投手を全く捉えられないこと。開幕戦は6回一死まで、2戦目は5回一死まで、3戦目も3回に先頭の安田尚憲が内野安打を放つまでノーヒットだった。
昨年までは球数を投げさせ、相手先発の疲れが見えた試合中盤以降に得点を重ねるという攻撃が多かったが、今季は早いカウントから積極的に仕掛けてはいるものの、この3試合だけに限れば、捉えきれないまま試合中盤まで進んでしまっている印象を受ける。相手投手に球数を投げさせるのがいいのか、早いカウントから積極的に仕掛けていくのか、どちらが良いかは3試合で判断できるものではないのでなんとも言えないが、ソフトバンクとの3連戦では相手投手をただただ楽にさせてしまった。
シーズントータルで見た時に昨季は初回に奪った得点はイニング別では3番目に多い63得点だったが、4月終了時点の26試合で初回に奪った得点は僅かに5点、2回も5点、3回も6点と開幕直後の1カ月は相手先発投手の立ち上がりを攻略できなかった。先発投手陣のためにも、早いイニングに援護できるよう改善していく必要がある。
マイナス要素ばかり並べてしまったが、今季チーム初得点を奪った3戦目の6回の攻撃は見事だった。0−4の6回一死から友杉篤輝が内野安打で出塁し、続く荻野貴司がライト前に繋いで一、二塁。中村奨吾の三野選で満塁とすると、角中勝也、山口航輝の連続適時打で3点を奪った。中村奨の三塁へのゴロで三塁セーフとなった二塁走者・友杉の走塁、そして四球は1つもなく早いカウントから安打で繋いでいく攻撃は素晴らしかった。
まだ対戦相手が優勝候補のソフトバンクだけ、他の球団と対戦した時に点が取れるかどうか。ソフトバンク投手陣の前に完璧に抑え込まれたが、次カードの日本ハム戦以降、序盤から大量得点する可能性もある。開幕5連敗を喫した21年も開幕からの5試合で10得点しか奪えなかったが、6戦目の楽天戦で16点を挙げた試合をきっかけに、得点力が上がった例もある。チームとして取り組んでいることがハマり、1つ先を狙った走塁をはじめとした最大の武器である足を絡めた攻撃ができれば、必然的に得点力は上がっていくはずだ。
◆ 投手陣は心配なし?
投手陣に関しては3試合を終えた段階でチーム防御率は12球団ワーストの5.63ではあるが、先発投手が粘りながらも失点し、ビハインドで登板したリリーフが失点してしまうという展開だった。その中でも、オープン戦から安定した投球を見せていた坂本光士郎、中森俊介は開幕カードで2試合登板したが、いずれも無失点に抑え、結果を残した。そこまで悲観する必要はないのではないか。
リリーフ陣に関してはファームに唐川侑己、東條大樹、国吉佑樹、中村稔弥、小沼健太、鈴木昭汰などが控えており、2日終了時点のファームの救援防御率は1.98。ビハインドゲームで投げるリリーフ陣の結果が出なければ、ファームの選手たちが一軍にいつ呼ばれてもいいように待機している状況だ。2日の公示で早速、3月上旬にトレードで加入した西村天裕が一軍に昇格し、同日のソフトバンク戦の8回に登板し1回を無失点に抑えた。一、二軍を含めて、シーズン通してレベルの高い競争に期待したい。
開幕3連敗を喫したが、先発が打ち込まれて、勝ちパターンのリリーフ陣が逆転されて負けたわけではなく、打線が点を取れない間に先発投手が力尽きて失点して敗れた。3試合の内容が悪かったこともあり、この先を不安視するファンも多いが、まだ3試合を消化しただけ。基本的にロッテというチームは“打ち勝つ”野球ではなく、“守り切る野球”で勝っていく。投手陣がリードを守り切れるだけの得点を早いイニングで奪って、勝ちパターンのリリーフ陣で逃げ切る試合を早く作りたい。まずは1つ勝てば、チームの流れ、打線の流れも変わるはず。開幕したばかり、まだまだ巻き返せる。
文=岩下雄太