◆ 三浦監督が語る「1番」に起用した意図は?
DeNAのキャプテン・佐野恵太が開幕からトップバッターに抜擢され、見事にその役目を全うしている。
昨季は105試合に3番打者として出場。1番打者は交流戦を中心に21試合で経験したが、今季はオープン戦の段階からリードオフマンの役割を託され、ここまで打率.364、OPS.948と見事に期待に応えている。
三浦大輔監督は「出塁率を考えるとチームで一番高い選手ですし、1打席でも多くっていうところもあります」と、出塁能力の高さと昨年最多安打を獲得した打力を買っての抜擢だと説明。「しっかり良い働きをずっと続けてくれていますし、キャプテンとしてもチームを引っ張ってくれています。しっかり出塁してチャンスメイクというところをやってくれています」と目論見通りの働きに満足しているようだ。
佐野本人は「去年は交流戦限定みたいな感じだったので、開幕から1番ってことでちょっと気持ち的には変わったのかな」と多少の戸惑いも吐露。しかし「20試合ほど去年1番バッターで出ているので、リズムが3番のときとは違いがあったりという部分は経験できている。そのところは今シーズンに生きているなと思います」と大きく意に介していないようだ。
◆ 「リズム的なものはもう慣れた」
ただ、相手先発投手のボールと“ぶっつけ本番”で対峙する感覚はリードオフマンならでは。佐野は昨季以上に打席前の準備に工夫を施しているようで、「前にバッターがいないので、自分が映像で見た感覚と、打席に入ったときの感覚をより早くすり合わせないといけない。そこは敏感に、繊細に打席に立つようにしています」と明かした。
開幕して8試合、ここまで第1打席は7打数6安打1四球の打率.857と驚異的な成績をマーク。「リズム的なものはもう慣れたというか、問題なく打席には立てているので。1番だから3番だからということなく、試合に入れるようになっています」と胸を張る。安打を放った打席での相手投手の投球数は最多で4球。6本中5本の安打は2球以内で仕留めており、これも丁寧な準備と高い集中力の賜物だろう。
三浦監督は「勝っている間は動かしたくない」と打順変更はしない模様で、佐野は「引き続きしっかり準備していきたいですし、決して足が速いわけではないので、たくさん塁に出て、次のバッターに託したいなと思います」と出塁へのこだわりを口にした。
9日・中日戦の最終打席では、DeNAファンが陣取るライトスタンドに今季初ホームランを放ち、満員のファンとともにお馴染みのパフォーマンス「デスターシャ」も披露。4連敗後の4連勝で一気に借金完済と、上げ潮ムードをも感じるキャプテンは「間違いなく勢いは付いているので、また火曜日からも勢いに乗って戦っていきたいなと思います」と、11日から始まる王者・ヤクルトとの敵地2連戦に闘志を燃やしていた。
昨季届かなかった頂を目指す2023年シーズン。頼れる背番号7は積極的な切り込み隊長として、臆せずバットを振っていく。
取材・文 ・写真=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)