生徒やダンサーを性的な目から守るためにバレエ教師・保護者が注意したいこと

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2023年10月02日 10:30  おたくま経済新聞

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生徒やダンサーを性的な目から守るためにバレエ教師・保護者が注意したいこと

 みなさんご存じのとおり、バレエは練習着であるレオタードや舞台で着用する衣装の露出度が高めです。そして、バレエをしている私たちにとっては非常に残念なことですが、バレエをしている人を性的な目で見る人は存在します。


【その他の画像・さらに詳しい元の記事はこちら】


 筆者はYouTubeやInstagramなどのSNSでバレエのことを発信しているのですが、たまに性的な嫌がらせのようなDMを受けることがあります。


 また、知り合いの教室にはかつて、見知らぬ男性が突然押しかけてきた出来事があったそうです。すぐに先生が気づき、何をしにきたのか訪ねると「教室に入っていく生徒をみかけて追いかけてきた」「彼女が綺麗だから話したい」など語ったといいます。警察を呼ぼうとしたところすぐに逃げていったそうですが、これは嘘ではなく、本当にあった話。


 そこで今回は、楽しくバレエをするために、バレエを習う子どもたちが嫌な思いをしなくて済むように、バレエ教師や保護者が注意したいことを紹介していきます。


■ 大前提|バレエをしていない人にとってレオタード姿は「普通」ではない

 バレエを習っている人、教えている人にとって、レオタードはただの練習着でしかありません。そのような環境に慣れると、世間がレオタードに対して「どのような見方・イメージを持っているか」をついつい忘れてしまいます。


 しかし、バレエに関わりがない人にとって、レオタード姿というものは見慣れたファッションではありません。一部の人にとっては、水着と同じように、露出度が高いものとして性的興奮を感じるファッションでもあります。


 たとえば、レオタードの下にインナー(ボディファンデーションなど)を身につけず、バストの形が丸わかりになっている姿……正直バレエ界ではよく見る光景です。バレエ界ではある意味「普通」のことですが、外部の人が見たらどう思うでしょうか?


 いくら私たちバレエ関係者にとっては馴染みのある格好でも、外部の人からの見え方は違うのです。その点を、すべてのバレエ関係者が頭に入れておく必要があります。


■ SNSの発信には細心の注意を払おう

 近年、SNSとくにInstagramでは、バレエ関係者の発信が多数見られます。現に、「#バレエ」で検索すると約130万件を超える投稿が見られます。(※2023年9月28日時点)バレエ団やバレエ教室などの団体はもちろんのこと、筆者のように個人で発信しているアカウントもたくさんあります。中には、未成年のバレエ女子・男子が発信しているものも。


 それが決して悪いわけではありませんが、SNS発信をする上では頭に入れておくべきことがいくつかあります。


 まず最も意識すべきは「バレエ関係の発信とはいえ、見る人は不特定多数である」ということ。純粋にバレエが好きな人もいれば、身体を見ることが目的の人、小児性愛者もいるかもしれません。というより、「バレエを楽しむ目的以外の人も必ずいる」と思っておくべきでしょう。


 その上で、SNS発信をするときに気をつけたいことは以下の2つ。


▼SNSでバレエ関係の発信をする際に気をつけたいこと


・極力レオタード姿の写真・動画は上げない


・個人情報に繋がる写真・動画は上げない


− − −


 筆者の個人的な意見にはなりますが、「極力レオタード姿の画像をSNSまたはネット上に上げるべきではない」と思います。特に未成年の場合には。


 理由は単純、「誰が見ているか分からないから」そして「一度ネット上にアップされたものを完全に消すことはできないから」です。


 特に、バレエ教室の場合は、バレエ教室の住所やレッスン時間帯がネット上で公開されていることがほとんどです。教室の投稿を遡れば、簡単に、生徒の名前や行動範囲、レッスンに通っている時間帯、(制服姿が載っていれば)学校などの個人情報が分かってしまいます。


 最悪の場合、好みの子に声をかけようと、バレエ教室の行き帰りの時間に待ち伏せすることもできてしまうわけです。待ち伏せなどの行動を起こさないにしても、レオタード姿の画像を「バレエを楽しむ・学ぶ以外の目的で使用される可能性」もあります。


 個人の投稿であったとしても、身元を特定されたり、本来の目的とは違った見方をされたりするリスクは同様です。「みんなやっていることだから」と思考停止になるのではなく、ネットに画像をアップすることでどのようなリスクが生まれるのか、今一度考える必要があります。


 中でも未成年の場合、「世の中には想像するよりたくさん悪い人がいる」ということを意識していない人がほとんどでしょう。本稿を読んだ保護者の方は、SNSの使い方についてぜひお子さんと話し合ってみてください。


 ちなみに、非公開設定、いわゆる「鍵アカ」の場合でも、油断は大敵です。知人になりすましてフォローリクエストを送ってきたり、フォロワーが(悪意なく)拡散するなどの危険があります。「非公開設定だから何を載せても大丈夫」という考えは辞めましょう。


 ……とはいえ、バレエ団やバレエ教室などは、宣伝のためにレッスンやリハーサルの様子などを載せる必要があります。また筆者のように発信活動を行っている人たちも同じくです。


 バレエ団の場合は、契約などで画像(肖像権)の取り扱いが決まっている可能性があるため、そしてほとんどの場合、ダンサーは成人しているためここでは省きます。


 また、発信活動をしている人たちもほとんどが成人であると考えられるため、周りの人たちさえ映さなければ(映す場合は必ずアップする許可まで得られれば)自己責任の範囲内だと考えます。
(とはいえ、インナーを着用するなど、見られ方には注意してほしいとも思いますが)


 問題は、バレエ教室のSNS発信です。近年、投稿内容について配慮(注意)する教室も増えてきていますが、認識が甘い教室もまだまだ存在しています。


 バレエ教室の場合、生徒の多くは未成年。宣伝より先に、生徒の安全を確保することの方が教室にとっては最も重要なはず。沢山イイネをもらうよりも、優先するべきことは忘れてはなりません。


 先ほども書いたとおり、配慮なく生徒の様子をSNSにアップしてしまうと、個人情報の特定に繋がります。以下で、考えられるケースを提示してみましょう。


▼ バレエ教室の発信で生徒の個人情報が特定される例


・レッスン中の注意の声、ゼッケン、キャプションで「○○ちゃん」と書く、発表会パンフレットの出演者情報・コンクールの入賞情報・賞状をSNSにアップする→名前がバレる


・制服姿や学校指定のアイテムを持った写真をSNSにアップする→学校がバレる


・「○○ちゃんは家が近いので」「○○ちゃんは電車で30分かけて通ってくれています」などの記述→だいたいの居住区域や交通手段がバレる


・「○○ちゃんたちは姉妹で通っています」「付き添いで来た○○ちゃんの弟が一生懸命レッスンを見ていました(微笑ましいエピソードとして)」→家族構成がバレる


− − −


 上記は一例ですが、悪意のある人間はネット上に散らばった情報をつなぎ合わせて個人を特定します。とはいえ、レッスン風景などを載せないと宣伝にならないと思う気持ちもよく分かります。やはり教室選びの際は、レッスンの雰囲気や様子はよく見られる部分ですから。


 では、リスクを最小限に抑えてSNSで発信するにはどうしたらよいのでしょうか?筆者が思うポイントをいくつか紹介します。


 ▼ バレエ教室がSNS発信の際に押さえておくべきポイント


・本人または保護者からSNSアップの許可を取る(基本は書面で。口頭確認のみの場合は後にトラブルになることがある)


・名前、顔、そのほか個人情報に繋がるものは隠してアップする


・レオタード一枚(いわゆるレオイチ)の姿は載せない(ボトムやトップスなどを着用したものだけを載せる)


・教室の雰囲気を伝えるためにどうしてもアップしたい場合には、出来る限り遠くから撮った写真に限定する


・ストレッチ中、脚を上げている姿など、きわどい部位の写真はアップしない


− − −


 中には上記を見て「気にしすぎ!」「そんなSNSつまらない」と思う方もいるかもしれません。しかし、何より大切なのは生徒の安全です。万が一、バレエ教室のSNSがきっかけとなり、生徒を狙った犯罪が起こってしまったら?生徒の画像が性的なサイトに無断転載されていたら?そう考えるととても怖いですよね。


 余談になりますが、筆者は以前、検察官のサポートをする検察事務官として働いていました。そこでは、たくさんの性犯罪を見ました。私たちが思っている以上に、世の中にはさまざまな趣味・嗜好の人がいます。


 「私は美人じゃないから」「胸がないから」「おばさんだから」「子どもだから」……そんなこと犯罪者には通用しません。SNS発信においては、犯罪者を呼び寄せるきっかけを与えないことも必ず頭に入れておきましょう。


 ここまで主にバレエ教室のSNS発信について述べてきましたが、保護者の方が発信する場合も同じです。可愛い我が子が一生懸命レッスンしている姿をSNSにアップしたい気持ちはよく分かります。しかし、一度ネット上にアップしたものを完全に消すことはできません。


 お子さんが年齢を重ねたときにその発信を見たらどう思うか、先ほど紹介したような「個人情報に繋がる情報」がないか、大事なお子さんの安全を守るためによく考えてみてください。


■ レッスンの行き帰りの服装、大丈夫ですか?

 バレエを楽しく安全に学ぶために気をつけたいことがもうひとつ。レッスンの行き帰りの服装です。


 SNSや街中などで、レオタード姿でバレエ教室に行き来している小さなお子さんの姿をたまに見かけます。「教室が近いから」「教室についてからの脱ぎ着が大変だから」など、理由があるのでしょう。そして、大多数の人は「あら、かわいいね〜!」と好意的に見てくれます。


 しかし、思い出してください。バレエに関わりがない人にとって、レオタード姿というものは見慣れたファッションではありません。そこに、たまたま小児性愛者がいたら?レオタード姿を撮影して、画像を売ろうと考える人がいたら?……怖いですよね。


 レッスンの行き帰りは、必ずレオタードの上から洋服を着ましょう。バレエ用品店では、脱ぎ着がしやすい前開きのジップアップワンピースを子ども向けに販売しています。脱ぎ着が大変な場合は、このような商品を利用するのがおすすめです。


■ 「用心しすぎ」がちょうど良い

 今回はバレエに限った話でしたが、本稿の内容はバレエだけでなく日常生活にも通ずる話です。バレエ以外のSNS発信、学校に着ていく服装など、何でも「用心しすぎ」くらいがちょうど良いと思います。


 楽しいバレエを安全に続けられるよう、バレエ教師や保護者などの大人が気をつけましょう。


 また自衛措置として、インナーを正しく着用することも大切です。以下の記事では、レッスン時や衣装の下に着用するインナーについて解説していますので、ぜひあわせて読んでみてください。


【レオタードや衣装の下には何を着る?バレエのインナーの種類と必要性を解説】
https://otakei.otakuma.net/archives/2022092805.html


(上村舞)


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  • レオタードで通うのを許す教室はどうかしてると思う。お団子頭は仕方無いけど。
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