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■みどりの窓口が減らされている
日常生活で利用する駅。近年、駅から様々なものが消滅していることはご存じだろうか。その代表格は「みどりの窓口」だ。JR東日本はみどりの窓口を続々と減らしているが、インバウンドの増加もあって、窓口は慢性的に混雑している。特に4月の定期券の発売時期は、窓口に長蛇の列ができた。
(参考:【写真】こんな形だったとは! JRのプロトタイプや量産型の車両)
JR東日本は指定席券売機や、えきねっとなどのサイトでも切符が購入できると案内している。それに、日常的な乗車であればSuicaなどのIC乗車券で事足りるし、利用者も多いはずだ。それでもなぜ、みどりの窓口が混雑するのか。シンプルな理由で、みどりの窓口に行かなければ買えない切符が多いためである。ある鉄道ファンはこう嘆く。
「僕たちが作るような、東京発東京行きのような“一筆書き乗車券”は、指定席券売機ではなかなか発券しにくい。最終列車や一番列車、寝台特急などの指定券は確かに券売機でも買えるのですが、タイムラグがあるため窓口が確実。せめて、券売機の機能をプロ仕様にしてくれれば、鉄道ファンのほとんどは券売機で買うと思います。ただ、切符を買いなれていない方々にとっては、窓口がなくなるのは不親切ですよね」
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■駅ビルや駅前にある書店も徐々になくなっている
駅からなくなって困るものはまだある。駅前、もしくは駅ビルの中にある書店だ。地方の書店の減少は深刻な問題になっているが、首都圏の駅前からも相次いで書店が消滅している。駅の構内にあったキオスクや書店もひっそりとなくなっている。電車の中でも漫画本を広げる人はほとんどいなくなったし、多くの人はスマホで漫画や小説を読んでいると思われるが、それでも寂しいものがある。
ゴミ箱も次々に撤去されている。駅のセキュリティなどの問題であると鉄道会社は説明するが、実際はゴミの処理費用が負担だからであろう。確かに、家庭ゴミの持ち込みなど利用者のマナーの悪さは目立っていたと思うが、駅の中で食べ物やジュースを売っておきながら、ゴミを捨てる場所がなくなるのはおかしいのではないだろうか。結果、空き缶のリサイクルボックスに紙ゴミが捨てられていたり、駅前のコンビニのゴミ箱があふれていたり、駅のトイレがゴミで溢れるケースも目立っているようだ。
駅や駅舎までなくなっているケースがある。留萌本線や根室本線の一部などがどんどん廃線になっているJR北海道では、併せて利用者が少ない駅が次々と廃止になっている。さらに、JR四国では“駅舎”がなくなるケースも出ている。立派な木造駅舎の維持が難しいということで、簡素なバス停のような構造物に改築される例が増えている。これは到底、駅舎と呼べるものではないが、厳しい懐事情がうかがえる。
極めつけは時計である。駅にある時計を、JR東日本は撤去しているのだ。時計の維持に費用が掛かるうえ、スマホで問題ないから、という理由らしい。しかし、スマホを持っていない人も多く、時刻くらいはスマホを使わずにサッと確認したい。そんな時に駅の時計は便利なものであった。鉄道と時計は切っても切れない関係であるはずだが、それすらなくしてしまうとは、いったいどういうことなのだろうか。
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近年、鉄道会社は鉄道よりも不動産業の方が重要になってきている印象を受ける。駅ビルはどんどんきれいになるし、高級さを増している。インバウンドを意識したような店も増えた。その反面、鉄道のサービスの低下が著しくなっていることは、間違いないのではないか。駅で突然こんなものがなくなった、というケースは他にもありそうだ。
(文=竹下浩二)
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