そんななか二世帯同居の話が持ち上がりました。もともと義両親が所有している土地に、私たちが建築費を負担して二世帯住宅を建てる……という案です。夫婦で土地を買って家を建てるのに比べたら、お金の面ではだいぶ安く済むでしょう。
「それに……元妻との離婚後ウチの両親、孫に会わせてもらえなくなってさ」悲しそうにうなだれるトオルの姿に私は同情します。「そうなんだ……」「だから、両親には孫に囲まれた賑やかな老後を過ごさせてあげたいってずっと思っていたんだよ」
トオルはとても優しい人です。だから彼の言うとおり、元奥さんはよほど気性が荒かったのでしょう。孫に会わせてもらえなくなってしまった義両親を心配するトオルの優しさに触れ、私は同居を受け入れたのでした。
義両親との同居に不安がなかったといえば、正直嘘になります。しかし私はこれから子どもが増えても仕事を続けていくつもりだったし、利便性の高いエリアで家が建てられるメリットも感じていました。同居といっても「完全分離型の二世帯住宅」とのこと。ならばきっとうまくいくだろう……。そう思い、私たちは二世帯同居に向けて準備をしはじめたのでした。
【第2話】へ続く。
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