私の成人式のときに、両親は立派な振袖を買ってくれました。私はそれをサチの七五三のときに仕立て直していたのです。
聞けば、義姉と姪が成人式の振袖を選んでいるときに兄が「トモが着た振袖はすごくいいモノらしいんだよ。だからミイロの成人式にはトモのを借りればいいよ」と、義姉と姪に伝えたのだそうです。
兄は私が振袖を仕立て直していたことを知りませんでした。
うちの両親はオットリした性格ですが、義姉は気性が激しいタイプです。兄夫婦の結婚時にも、義姉はかなり強引に両親に援助を求めていたため、なんとなく義姉が怒鳴り込んできたときの様子が想像できます。私も両親も義姉にはあまり良い印象はありませんが、兄の奥さんとして最小限の付き合いをしてきました。
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私の振袖はたしかに良いお品で、着物がわかる親戚にはとても褒められました。兄は着物について詳しくありませんが、親戚が振袖を褒める様子を見て良い品だと覚えていたのでしょう。
しかし私が成人式で着た振袖は、両親が私のために買ってくれたので、私のもの。私の両親も同じ考えです。
もしかしたら兄や義姉は、振袖を家族の共有財産だとでも思っているのかもしれません。
兄に問い詰めたいけど、兄は完全に義姉の尻に敷かれています。私からハッキリ言えば義姉は諦めるかもしれないので、次の週末実家へ行くことにしました。
【中編】へ続く。
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