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京セラは6月18日、通信事業部門の戦略説明会を実施した。法人向けへの事業シフトが続く中でも、スマートフォン「TORQUE」は継続して販売する意向を明らかにした。
京セラは2024年末に個人向けスマホの開発・製造事業を終息する方針を示している。ただしその中でも、TORQUEと一部のフィーチャーフォンは継続して提供する方針という。
●「TORQUEは皆さんが思っているよりも法人の比率が高い」
TORQUEは、耐衝撃や防水、防寒、遮熱などの高い耐久性能を備えている。アウトドアのシーンで活躍するタフネススマートフォンだ。個人向けのイメージが強いが、京セラの通信事業戦略部の原田正夫氏は「TORQUEは皆さんが思っているよりも法人の比率が高い」と明かす。「運送業や建設現場など、使っている中でぶつけてしまう、落としてしまうような場所で使われている」という。
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このため今後のTORQUEシリーズは、法人向けと個人向け双方を意識した開発を行う方針だ。スペックだけを追求しない方向の製品開発となり、例えばカメラ機能は「画素数だけを追うことはしない」(原田氏)ものの、スマホのトレンドを取り入れた製品開発は継続するとしている。
また、10月9日の「TORQUEの日」には、ファン向けの企画を実施することを明らかにしている。「2024年はTORQUE発売から10周年になる。感謝の気持ちを込めて企画を検討している」という。新製品を販売するような企画ではないとしており、ファン向けの感謝イベントのような催しになるものと思われる。
●通信機器は法人向けを8割に 「コンシューマー向けはスペック競争とコスト要求が激しい」
京セラは法人向け製品の販売比率は2025年度末時点で売上高ベースで75%まで高まっている。最終的には法人向け比率で80%を目指すとしている。
法人向け事業では製品とソリューションを同時に販売することで、収益性の改善を図る。物流や小売り、医療などの分野別の課題を解決するサービスを開発し、スマホやタブレットとセットで売り込んでいく戦略だ。
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京セラの與那嶺徳弘通信事業戦略部長は「コンシューマー向けはスペック競争とコスト要求が激しいのに対して、法人向けはしっかりとした製品づくりと現場で使えるソリューションが求められる」と発言。日本で製品企画から設計、製造、アフターサポートまで一貫して手掛ける京セラは法人ユーザーのニーズに応えられると強調した。
●法人向けスマホとタブレットの新製品「DIGNO SX4」「DIGNO Tab2 5G」
6月18日にはスマートフォン「DIGNO SX4」とタブレット「DIGNO Tab2 5G」を発表した。バーコードリーダーや決済端末、トランシーバーといった専用機を置き換えるAndroidデバイスだ。
DIGNO SX4シリーズは法人向けの標準モデルで、5G対応の「DIGNO SX4」と、Wi-Fiモデルの「DIGNO SX4 Wi-Fi」を用意。いずれも2024年10月以降に発売する。タッチ決済の読み取りリーダー端末としての利用も想定し、本体天面の広い範囲でNFCカードを認識できるように設計している。
このスマホでは内部構造に工夫を施している。長期使用に耐えうるように端末内部の構造に難燃性の高い素材を採用。安全層を設けることで耐久性を高めている。
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また、予防保全のために端末の落下を検出する機能も搭載。ダメージの累積による機能低下の影響を予測し、自己診断アプリで端末の故障を把握できるようにしている。
DIGNO Tab2 5Gは法人向けのタブレットで、KDDIから2024年秋以降に発売する。NFCリーダーを前面に配置して、画面にカードを当てるだけでマイナンバーカードやタッチ決済の認証を行えるようにした。訪問看護での看護師向け端末や、出張販売でのPOS兼決済端末としての利用を想定しているという。
●医療向けの4つのソリューション
説明会では医療機関での利用を想定した4つのソリューションも紹介した。具体的には持参薬確認、食事摂取量の記録、離床センサー、歩行分析というソリューションだ。
持参薬確認は、入院患者が持参した薬剤師が確認する作業だ。薬はリフィルに入っている場合と一包化されている(服用時毎に分けられている)場合がある。京セラが開発しているソリューションは、AIが処方薬の種類を分析することで、薬剤師の業務を省力化するという内容だ。2027年までの商用化を目指すとしている。
食事摂取量の記録は、入院患者がどのくらい食事を食べたのかを記録する作業だ。京セラは食事の皿をAIで認識して、食事の量がどのくらい減ったのかを判定する仕組みを開発している。
離床センサーは入院患者がベッドから転落したり、徘徊したりするのを検知する仕組みだ。京セラはミリ波センサーを離床センサーとして使って、精度の高い検知とプライバシー保護を両立させる仕組みを開発している。
歩行分析は、独自トラッキングデバイスを開発している。理学療法士が患者のリハビリを行う際に、足元の動きを確認できるようなサービスの提供を目指している。
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