JR東日本とJR西日本は29日、利用者が減少して採算が悪化しているローカル線の収支状況を発表した。JR東では対象の36路線72区間がすべて赤字で、2023年度の赤字額は計約757億円に上った。JR西でも17路線30区間で赤字。赤字額は21〜23年度平均で約233億円だった。人口減少などを背景に旅客が落ち込む路線・区間が多く、事業環境は一段と厳しさを増している。
JR東は、1キロ当たりの1日平均利用者数(輸送密度)が2000人未満だった区間を開示。対象は営業区間全体の4割に相当する。大雨災害などの影響があった区間の運転再開などを受け、22年度に比べ10区間増えた。比較可能な62区間では、赤字額が計約655億円(22年度は約648億円)に拡大した。
72区間の運輸収入が計約63億円だったのに対し、営業費用は計約821億円。最も赤字額が大きかったのは22年度に続き羽越線(村上―鶴岡)の49億6800万円だった。特に採算性が悪かった久留里線(久留里―上総亀山)では、100円の収入を得るのに経費が1万3580円かかっていた。
不採算路線の一部区間では、沿線自治体などと今後の交通の在り方を協議している。利用向上が見込めない区間について、JR東は「地域の方々に現状を理解していただき、持続可能な交通体系を議論していく」(担当者)との考えを示している。
JR西の対象区間で、赤字額が最も大きかったのは山陰線(出雲市―益田)で30億8000万円。芸備線(東城―備後落合)は、23年度の1キロ当たりの1日平均利用者数が20人。100円の収入を得るのに1万1766円の経費がかかった。