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今年5月、兵庫県を含む日本各地でオーロラが観測された理由は、高度1000kmという通常よりかなり高い場所で発光していたためだった。国立極地研究所は10月31日、一般市民から寄せられた多数のオーロラ写真を解析した研究成果を発表した。
5月7日ごろから頻発した大規模な太陽フレアにより、同月11日に巨大磁気嵐が発生。国立極地研究所の片岡龍峰准教授がXで撮影を呼び掛けたところ、「♯オーロラシチズン」タグに日本全国からオーロラ写真が集まった。
このうち179地点で撮影された写真からオーロラ上端の仰角を求めることができた。それを基にベイズ推定を行った結果、通常のオーロラは高くても高度600kmほどなのに対し、この時のオーロラ上端の高さは1000km以上であった可能性が高いことが分かったという。「これが、兵庫県などの緯度の低い地域からも見晴らしがよければオーロラが観測できた最大の理由」。
また、この時のオーロラは磁気嵐発生時の典型的な「赤」ではなく、「マゼンタ(赤紫)」だった。理由について研究グループは「5月時点では、地上は夜であっても高高度は日射域であり、太陽光の共鳴散乱によって窒素分子イオンの散乱色である青色が加わっていた」と説明する。通常、窒素分子イオンは高度1000km以上には存在しないが、磁気嵐で大気が加熱された影響で“舞い上がった”と考えられる。
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研究チームは、昨年12月に北海道で観測された異常に明るいオーロラに続き、シチズンサイエンス(多くの人が協力して行う研究活動)の重要性を示す事例という。「今後もシチズンサイエンスによって、オーロラ観測や磁気嵐などの実態解明が一層進展することが期待される」。
論文は10月28日付で「Scientific Reports」に掲載された。
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