与党の自民、公明両党と国民民主党の3党は20日、所得税の課税最低基準である「年収103万円の壁」の引き上げなどを政府の総合経済対策に明記する方針で合意した。与党の税制調査会は合意に先立ち、基準見直しを求める国民民主から、来年度税制改正に関する要望書を受け取った。与党の税調は「壁」見直しの具体化に向け議論を進める予定で、非課税枠の引き上げ幅や財源、引き上げ対象などが今後の焦点になる。
国民民主は3党間の税調会合で、税制改正の最重点項目として、103万円の壁とエネルギー高騰への対策を要望。自民の宮沢洋一税調会長は会合後に記者団に対し、壁に関して「ある程度の方向性を議論していかなければいけない」と述べ、与党で検討を急ぐ意向を示した。12月に取りまとめる来年度税制改正大綱に、引き上げ幅などを明記することを目指す。国民民主を含む3党の税調幹部は来週も協議し、検討状況を確認する。
国民民主は非課税範囲の拡大を目指し、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計額103万円を178万円に見直すよう求めた。学生らがアルバイトの労働時間を抑制する一因となっている親の「特定扶養控除」について、適用される基準年収の上限引き上げも要望した。
国民民主の古川元久税調会長は20日、所得税の基礎控除額の引き上げに関連し、地方税である住民税の基礎控除額も同様に見直すべきだとの認識を改めて示した。政府は、仮に基礎控除だけ75万円引き上げると、国と地方を合わせた税収減が7兆〜8兆円に上ると試算している。
エネルギー高騰対策について国民民主は、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の発動を迫った。現在は、東日本大震災の復興財源を確保するために発動が凍結されている。与党は自動車関係諸税全体の見直しの中で検討し、結論を出す構えだ。