03年のフェブラリーSを制したゴールドアリュールと武豊騎手(03年2月撮影、ユーザー提供:カイザータコスさん) 今年で42回目を迎えるフェブラリーSだが、97年にGIに昇格して以降に限ると29回目となる。そして昨年までの全28回に参戦してきたのが武豊騎手だ。しかし、今年はサウジアラビアに遠征するため、連続騎乗記録がストップする。そこでこの機会に過去の5勝を振り返りたい。
待望の初制覇は03年のゴールドアリュールだった。東京競馬場が改修工事のため、中山競馬場での開催となった一戦。単勝3.1倍に1番人気に応え、好位から堂々の押し切り。それまで6回の参戦で2着2回、3着1回、4着2回とあと一歩のレースが続いていたが、遂に惜敗続きにフィニッシュ。01年のジャパンCダートのクロフネに続き、自身2回目のJRAダートGI制覇を果たしたのだった。
2勝目は06年のカネヒキリだ。前半3Fが33秒9、5Fが57秒4という超ハイペースを中団追走。直線で楽々と前を捕らえ、3馬身差の圧勝を収めた。その2年後の08年にはヴァーミリアンで参戦。こちらは先団からの横綱相撲で勝利を手にすることとなる。このダート王2頭は実は同期。その両馬の主戦がともに武豊騎手だったという事実に驚かされる。
その後はしばらく勝利から遠ざかったが、15年に新たな大物との出合いがあった。Dr.コパこと小林祥晃オーナーが所有するコパノリッキーだ。初コンビとなった前走の東海Sを快勝。続く本番では番手追走から抜け出すと、迫るインカンテーションを半馬身抑え、パートナーを連覇に導いた。その4年後の19年には、同じく東海S覇者のインティでエントリー。マイペースの逃げを打ち、最後はゴールドドリームの猛追にあったものの、僅かにクビ差凌いでフィニッシュ。愛馬を未勝利から7連勝でのGI制覇に誘ったのだった。
実は過去5勝は全て1番人気でのもの。だからといって「強い馬に乗っているから勝てている」というわけではもちろんない。長きに渡って、これだけの錚々たる名馬を依頼され続けているのが、唯一無二のレジェンドの凄さといえるはずだ。