LNG安定調達に苦慮=ロシア産なお1割―ウクライナ侵攻3年
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2025年02月24日 09:01 時事通信社

ロシアのウクライナ侵攻から3年。エネルギー情勢を巡る混乱を受け、日本では今も綱渡りの供給が続く。特に液化天然ガス(LNG)は世界規模の争奪戦にさらされ、電気代やガス代の高騰が家計を圧迫。全体の1割弱を占めるロシア産は供給途絶のリスクと隣り合わせで、電力やガス会社は調達の多角化と安定化に苦慮している。
LNGは火力発電の燃料や都市ガスの原料として使われ、日本はほとんどを輸入に頼る。経済産業省によると、2021年から上昇傾向にあったLNGの市場価格は、22年のウクライナ侵攻でさらに急騰。アジア市場では19年と比べ22年は平均で約6倍に跳ね上がった。
24年の調達量は約6589万トン。そのうちロシア産は568万トンで、極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」から全量調達している。ロシアのエネルギーは欧米の制裁対象となっており、日本も追随しているが、サハリン2のLNGに関してはエネルギー安全保障の観点から輸入を続ける。
ただ、減産などのリスクは拭えない。三井物産が出資する北極圏の開発事業「アークティックLNG2」は、制裁の影響で開発が滞る。サハリン2の長期契約は、早ければ26年に更改期限を迎える。継続か撤退か、各社難しい判断を迫られる。
今月7日の日米首脳会談で、日本政府はトランプ米政権とLNGの輸入拡大で合意した。日本ガス協会の内田高史会長(東京ガス会長)は「どこが安く、安定的な価格になるのかを見極めながら買う」とし、契約期間の柔軟化といった対応も必要と強調する。しかし、ロシア産のガスに依存してきた欧州も米国産に傾倒しつつある。日本に残された選択肢は多くない。
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