限定公開( 27 )
アヲハタが2024年の8月に発売した、パウチ入りの冷凍フルーツ「まるかじゅり」が好調だ。パウチの中に凍らせたフルーツと果汁が詰められており、手でもみほぐした後に吸って食べる……というコンセプト。シャーベットのような既存の果汁アイスとも冷凍フルーツとも異なる、「新カテゴリー」ともいうべき商品だ。価格はオープンだが、想定価格は248円。
【画像】“新感覚”をうたう冷凍フルーツ「まるかじゅり」、どんな商品?(計6枚)
これまでの売り上げは非公開としているものの、SNSでの反響が大きく「手に入らない」といった声も多く寄せられていることから、現在販路の拡大を図っているという。
ジャム事業で知られる同社だが、どのような狙いから新たなカテゴリーを強化しているのか。マーケティング担当者に話を聞いた。
●「ジャム一極集中」に課題
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まるかじゅりは、凍らせたフルーツ果肉と果汁が入ったパウチ入りの冷凍フルーツ。ネーミングは「まるかじり」と「果汁」を組み合わせたものだ。現在は、さっぱりとした味わいの「グレープフルーツ&オレンジ」と、甘みの強い「マンゴー&ベリー」の2種類を展開している。
アヲハタはジャムに続く「第二の柱」として、冷凍フルーツ商品を「フローズン事業」として2023年にローンチしている。
背景には何があるのか。マーケティング本部 マーケティング室 室長の富岡木子氏によると、ジャム市場は直近の10年ほど、縮小傾向にあるという。「ジャム消費の主な機会は朝食ですので、朝食の欠食率増加が大きな要因です。世帯人数も減っている中で、『ジャム一本柱』でやっていくことには危機感がありました」(富岡氏)
そこで同社は、「フルーツのアヲハタ」を掲げて冷凍フルーツに進出することで、「朝食以外」の喫食シーンにアプローチを広げようとしているのだ。
第1弾として打ち出しているのが、2023年に発売した「くちどけフローズン」。フルーツそのままの、一般的な「冷凍フルーツ」に近い形だが、凍結させる前に果汁づけにするという製法が採られている。こちらはジャム事業で培った、フルーツの加工・保存技術を生かしているとのこと。これにより、「凍ったままでやわらかい」食感を再現。冷凍庫から出してすぐに食べられる点を強みに、既存の冷凍フルーツに対抗しており、順調に売り上げを伸ばしているという。
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●テスト販売で好調
社内公募で寄せられたアイデアをもとに、第2弾として開発したのがまるかじゅりだ。主なターゲットとしては、忙しい中でも「フルーツを食べて、ほっと一息つきたい」「身体をいたわりたい」というニーズを持つ女性層を想定している。
国は1日のフルーツ摂取量の目標を「200グラム」と定めている。しかし中央果実協会の調査によれば、実際に摂取できている人の割合は13.6%。生のフルーツを食べない理由としては、「日持ちがしない」「皮をむく必要がある」などが多く挙げられているという。
まるかじゅりは、こうした理由でフルーツを食べる機会が少なくなっている人に「手軽さ」をアピールする商品だ。ワンハンドで食べられる形状にこだわっており、「従来の『形がある』冷凍フルーツからの脱却を目指しました」と、担当する佐々木優子氏(マーケティング本部 マーケティング室 フローズン事業チーム)は話す。
発売にあたっては、2019〜20年に一部コンビニで「グレープフルーツ&オレンジ」味のテスト販売を実施。「売れ行きにかなり手応えがあった」(富岡氏)とのことで、量産化に向けた準備を進めるに至った。「さっぱりしていておいしい」といった声が集まるなど好評を得た一方で、「果肉が見えているのに最後まで出てこない」といった意見も寄せられたことから、量産化にあたっては容器の改良に苦心したという。
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量産化の体制を整え、本発売したのは24年の8月末のこと。スーパーやコンビニ、ECサイトなどで発売したところ、SNSでは「カロリーが低めでうれしい」「パッケージやネーミングがかわいい」といった声が集まるなど、好評を博した。
しかし、反響の大きさに対して「十分な量を用意できなかった」という課題感があるという。「『どこにも並んでない』『やっと見つけた』といった声も多くありました。まずは認知を広げ、いろいろなところに置いていただくことが目標です」(富岡氏)
5月30日からは、新たに「ピーチ&グレープフルーツ&グァバ」味も発売する。こちらは商品への調査で特に要望が多かった「桃」を採用しており、主力商品の「55ジャム」で若年層に人気の3フレーバーを合わせた。
今後も売り上げの拡大が見込まれる同商品。看板商品で蓄積された技術とブランドイメージを、巧みに生かした事例といえそうだ。
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