デコトラにスケルトン仕様…日本が誇るモノづくりの匠たちが本気でミニ四駆を製作、優勝した車体とは!?

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2025年05月26日 12:20  まいどなニュース

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株式会社モデルアートはデコトラでレースに臨んだ

5月24日、大阪工業大学梅田キャンパスで「製造業対抗ミニ四駆大会・大阪工業大学カップ」(主催・大阪工業大学)が開催された。

【動画】モノづくりの技術が詰め込まれたミニ四駆が実際に走る様子

製造業を営む企業と学生ら34チームで競われた大会の出場条件は、自社の技術をひとつ以上盛り込んで製作したミニ四駆であること。

シャーシは市販のものだが、ボディはそれぞれ製造業ならではの技術と趣向を凝らし、各チームが特徴のあるマシンでレースに臨んだ。

技術を披露し、学生と企業が交流する場に

走路は4階建てという珍しい構造。1周20メートルもないと思われるが、凹凸あり、ジャンプあり、急カーブありの変化に富んだ仕掛けのあるコースが4段重ねになっていて、それぞれのコースを1台ずつ走る。つまり、抜きつ抜かれつのデッドヒートが「横」ではなく「上下」で繰り広げられるのだ。

どのチームも苦労していたのは、最終コーナーだ。カーブ直前の路面にわずかな出っ張りをつけて、車体が跳ね上がる仕掛けが施されている。スピードが出たまま出っ張りを踏んだら車体が跳ね上がって、着地する前にカーブの向こうへ飛び出してしまう。実際、トップで最終コーナーまで来たにもかかわらず、ここでコースアウトするマシンが続出した。

今回で9回目を迎える大会は、製造業と学生の参加数が偶然にも半数ずつになった。

大会を運営するのは、次世代の人材育成と製造業の活性化を目指すモノづくりコミュニティの「ザ・クラフターズ」だ。「ザ・クラフターズ」はモノづくりを生業とする企業が参集し、「モノづくり自体に興味をもってもらい、知ってもらうこと」を目的に様々な活動を行っている。

会長で株式会社MACHICOCO代表取締役の戸屋加代さんに、大会の意義を聞いた。

「製造業の横のつながりを広げて、技術を表現する場を提供したい。ミニ四駆という端末を通じて、若手社員の技術教育の機会にもなっています。また、大学生が学んだ技術を実装・テストする場としての役割も果たしていて、企業の経営者と学生がコミュニケーションをとれる機会にもなっています」

参加者は年々増えているといい、今回は過去最多規模の学生が参加しているとのこと。大学生ばかりでなく、高校生の参加者もいた。

この大会いちばんの特色は、「製造業対抗」の名の通り、参加企業がモノづくりを生業としていること。しかも自社の技術をひとつ以上盛り込まなければならない。

愛知県から参加した金型製造に携わる小山祥さんは、ワイヤー放電加工の技術で大阪工業大学のロゴを立体で製作し、それをマシンに載せた。

1級放電加工技能士の資格をもつ小山さんは、製造業の魅力について「図面から実際の形になっていく過程に魅力を感じている」と語った。

一方、派手なネオンで飾ったトラック、いわゆるデコトラのミニ四駆で初参加したのは、株式会社モデルアート。切削加工したボディに、実際に光らせることができるネオンサイン。この大会に参加するため、タイヤを自社オリジナルで製作したという。

また、学校関係では埼玉県立狭山工業高校から、高橋勉教頭が自作のミニ四駆を引っ提げ、単独ではるばる参戦していた。

「生徒も連れて来たかったんですけどね、昨日まで中間考査があったことと旅費の問題で私だけの参加になりました」

大阪産業大学情報デザイン学部情報システム学科として参加した伊藤一也教授は「大会では指定のコントローラーを使用することが条件となっているため、マイクロコンピューターのプログラムで工夫を加えている」といい、走行特性について、全開から絞るのは簡単だがその逆が難しいとのことだった。

レースの勝敗は先着順だが、予選で敗れても敗者復活戦がある。過去には敗者復活戦を勝ち抜いて、入賞したマシンもあるそうだ。

掌に乗るほどの小さなマシンだが、企業も学生も日頃の技を結集したこだわりをもって参加しているから、レースはいやが上にも白熱する。

練習では調子よく走っていたのに、レース本番で不調に泣くチームがあったり、不意にコントローラーと受信機のペアリングが切れたり、あるいはユニークな外見からは想像できないような走り見せるマシンがあったりして、大人が夢中になって応援する気持ちがよく分かった。

勝負の結果は、兵庫県尼崎市から参加した「株式会社日賀鉄工所」が優勝となった。マシンが明らかに速いし、カーブでのスピード制御やジャンプ台の通過など、操縦技術が抜きん出ていた。

ちなみに、ふだんは重量物を扱うことが多いという日賀鉄工所。ミニ四駆の製作にあたって敢えて「手づくり」にこだわったという。

「薄い鉄板を火であぶりながらハンマーで叩いて、ボディをつくりました」

細かい手先の技術も有していることを示した勝利だった。

大会の今後について、戸屋さんに伺った。

「ミニ四駆大会を継続しながら、挑戦する企業と学生が集まる展示会イベントとして発展させ、技術や能力を発揮できる場を広げていきたいです」

就職先として製造業が敬遠されがちだという。しかし、こうして技術を目に見える形で示すことで、製造業の面白さや魅力に気づく機会になるのでなないだろうか。

尚、製造業対抗ミニ四駆大会は7月26日(土)・27日(日)の両日、大阪・関西万博2025でも開催される。6月30日まで参加者を募集している。詳しくは「ザ・クラフターズ」のWEBサイトへ。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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  • 雲外蒼天様ならリアル戦車をスケルトンで乗ってくる・・・・
    • イイネ!13
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