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愛犬が手術後に死んだのは病院側が適切な処置を取らなかったことが原因だとして、大阪府吹田市の飼い主一家5人が26日、滋賀県の動物病院の男性院長を相手取り、慰謝料など計約770万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。
訴状によると、死んだのはポメラニアンとトイプードルの混血犬の雌「るく」(当時2歳6カ月)。るくは5月12日、同県草津市の動物病院で膝の脱臼手術を受け、入院した。
手術は1日で終了したが、るくは退院後も継続して衰弱した様子を見せたため、飼い主は別の動物病院を受診。精密検査の結果、内臓に水がたまり、小腸は穴が開いて壊死(えし)していたことが判明。感染症による敗血症が疑われ、18日に緊急手術が施されたが、るくはその日に死んだ。
飼い主によると、るくが滋賀県の動物病院で受けた手術後の血液検査では、体内の炎症を示す異常値が出ていたが、男性院長からは「手術後にはよくあることで、ホームシックだろう。問題ない」などと説明を受けたという。
飼い主側は、るくの手術後、病院側が感染症の可能性を疑うべきだったのに、必要な検査を怠って放置したと主張。手術による感染症のリスクがあることの説明もなかったとして説明義務違反も訴えている。
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提訴後、記者会見した飼い主の男性(60)は「病院が入院中のるくをきちんと見てくれれば、命を落とすことはなかった。裁判所には、るくが大切な家族の一員であったことを分かってほしい」と訴えた。
病院側は「院長不在のためコメントできない」としている。
ペットは飼い主にとって家族同然の存在だが、民法上は「物」として扱われ、損害は時価相当額で評価される。ただ、代理人弁護士によると、近年はペットの存在感も高まり、同様の訴訟では飼い主の精神的苦痛も考慮されるようになっているという。【岩崎歩】
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