
※本稿は『呪術廻戦≡(モジュロ)』のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
現在、『週刊少年ジャンプ』(集英社)では『呪術廻戦』の公式スピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』が連載中。同作はシムリア星人という地球外生命体との接触がストーリーの中心となっているが、読者たちのあいだではその意味深な設定に考察が盛り上がっているようだ。
これまでの展開を大まかに振り返っておくと、同作で描かれているのは「死滅回游」から68年後の世界。地球にやってきたシムリア星人と、呪術のノウハウをもつ日本が外交を行っていくというあらすじだ。乙骨真剣・憂花を始めとした関係者たちの奔走によって、いずれの勢力も排他的な対立ではなく共生に向けた努力を選び取るという方向に進んでいる。
11月17日発売号に掲載された第11話「文化交流」では、相互理解に向けた第一歩として食事会が開催されることに。和やかな雰囲気で双方の距離が縮まったように見えたが、宇宙船に残った強硬派たちのあいだでは、地球人が「カリヤン」を惨殺しているという情報に混乱が広まっていた。
シムリア難民の中心となっているルメル族にとって、カリヤンは神聖な生き物という扱い。そして作中の描き方によると、今回ルメル族がカリヤンの惨殺を目撃したのは東京でのことのようだ。
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「死滅回游」以来、東京は呪霊が溢れかえる“人外魔境”となっており、封鎖状態にある。すなわちルメル族は、東京にいる呪霊をカリヤンと見なしているということだろう。
ここから浮かび上がってくるのが、ルメル族と呪胎九相図の共通点だ。たとえばルメル族はカリヤンが死ぬと「第三の目」から涙を流す体質だというが、これは呪胎九相図の脹相が血のつながった兄弟の死に反応していたことを連想させる。
またルメル族は地球でいう呪術に相当する「ロロルカ」を使うことができるが、そのルーツは先祖がカリヤンから授かった力だという。カリヤンにはルメル族以外を襲って食べる習性がある……ということも併せて考えると、ルメル族は元々シムリア星人とカリヤンとのあいだに生まれた“半カリヤン”の種族なのかもしれない。言うまでもなくこの設定は、呪胎九相図が人間と呪霊のあいだに生まれた“半呪霊”だという事実とかなり似通っている。
ルメル族と呪胎九相図が似ていることは、たんなる偶然とも解釈できる。しかしあえて想像を膨らませるなら、必然的な設定のつながりとして理解することもできそうだ。すなわち呪胎九相図の母親にあたる女性は、「呪霊の子を孕む特異体質の娘」だとされていたが、実はその正体は人間ではなくルメル族のような地球外生命体だったのかもしれない。
では今後の『呪術廻戦≡』ではどんな展開が予想されるだろうか。まず共生というテーマを描くうえで、カリヤン(呪霊)が大きな波乱を呼ぶことは間違いないだろう。
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これまでルメル族の面々は、日本人のいう呪霊が自分たちにとってのカリヤンにあたることを認識していなかった。地球人が呪霊を討伐して社会の秩序を保っていることを知ってしまえば、文化衝突が避けがたいはずだ。
そもそもルメル族が難民になったことも、カリヤン崇拝と大きく関わっていた。カリヤンを絶滅させるべきだと主張していたシムリア星の他民族との対立によって、村を追われたという経緯があるからだ。
さらに争いの火種になりそうなのが、本編の主人公・虎杖悠仁の存在。虎杖は現在消息不明となっているが、その潜伏先として魔境と化した東京は有力な候補と言える。そしてもし虎杖が東京で凶悪な呪霊の討伐を行っているとすれば、ルメル族にとっては恐怖もしくは憎悪の対象になるはず。バトルマンガとしての盛り上がりを考慮すると、虎杖とシムリア星人の最高戦力であるダブラとの決戦といった展開もあり得るのではないだろうか。
ただ、虎杖は元々宿儺の器として生み出された特殊な存在で、「人外魔境新宿決戦」では呪胎九相図を取り込んでいた。68年後の世界でも老いた様子がないため、“人間ではない存在”に近づいている節がある。だとすると、むしろ地球人とシムリア星人という2つの異種族の橋渡し役を担うことになるのかもしれない。
『呪術廻戦≡』で虎杖はどんな役割を演じることになるのか。ますます存在感が強まる“本編主人公”の今後に注目したい。
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