『ゴースト・オブ・ヨウテイ』をクリアして感じたこと ゲームとしては文句なく楽しめた、傑作『ゴースト・オブ・ツシマ』の後継作

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2025年11月24日 18:00  ねとらぼ

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(画像:『ゴースト・オブ・ヨーテイ』より)

 日本で大ヒットを記録した『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)の第二弾といえる時代劇オープンワールドアクションゲーム『Ghost of Yōtei』(ゴースト・オブ・ヨウテイ)が、発売から1カ月で世界販売330万本を記録。前作の人気を考えれば当然とも言えますが、それにしても驚異的な売れ行きです。


【動画】『ゴースト・オブ・ヨーテイ』トレイラー


 前作を非常に楽しんだ私は、当然のように本作も購入しました。PS5を所持しているのなら、シリーズ最新作を最速で遊ばない手はありません。そして、前作を超える圧巻のボリュームゆえに、発売日購入にもかかわらずクリアまでかなり時間がかかりました。


 肝心の内容ですが、結論としては「ゲームとしての面白さは前作以上。ただしストーリーは前作の方が好み」という感想に落ち着きました。なぜそう感じたのか、前作との比較を交えつつ述べていきます。


舞台は前作から約300年後の蝦夷地

 『ゴースト・オブ・ヨウテイ』は、『ゴースト・オブ・ツシマ』から約300年後、1603年の蝦夷地が舞台です。羊蹄六人衆という本土から渡ってきた集団に家族を殺された主人公・篤が、復讐のため蝦夷に戻ってくる物語が展開されます。


 前作では元寇という史実が物語の核でしたが、今作に史実ベースの事件は登場しません。地名や松前藩など現実の固有名詞は出てくるものの、物語自体はフィクションとして構成されています。


前作以上に派手で爽快な戦闘アクション

 まずゲーム部分についてですが、戦闘は前作から大幅に進化したと感じました。前作は刀の構えを使い分けて戦っていたのですが、今作では二刀流・槍・大太刀・鎖鎌など多彩な武器を駆使することで、戦闘バリエーションが格段に増えています。


 特に鎖鎌は、技を極めると遠距離から暗殺も可能でお気に入りの武器でした。一方、前作で猛威を振るった毒矢は、今作では控えめの性能になっているのが少し残念です。逆に長弓のマルチロックショットなど、アクションの派手さと快適さは大きく向上しているように感じました。時代が300年進んだ影響なのか、爆発物の威力も増しており、銃器も複数登場します。


多彩なアクションを“最初から”楽しめる仕様に

 アクション全般についても改良が感じられました。前作では途中から解禁される鉤縄アクションが、今作では最初から当たり前のように使用でき、前作にあった「ここは後で来るエリアなんだろうな……」という足止め感がなくなっています。


 また、いわゆる“続編あるある”の「前作でできたことが最初はできない」というストレスもありません。山々をテンポ良く飛び移るようなアクションも前作より難易度が下がっており、アクションが苦手な身としては大変ありがたい調整でした。


 ただし、DualSenseのタッチパッドを多用するようになり、「三味線を弾く」「絵を描く」「頭を下げる」など多彩な操作を行わされることになり、この操作に少々手間取りました。面白い試みではあると思うのですが、ちょっと操作が難しく私は最後まで三味線演奏がうまくいきませんでした。


 なお、魚を焼いたり火を起こしたりというアクションもゲーム内ではプレイすることが可能ですが、ここは省略することも可能になっています。


物語の軸は“復讐譚”

 ストーリーは、前作同様に敵拠点を解放していく構造ですが、羊蹄六人衆という多様な敵が相手であるためか、フィールドも敵もバリエーションが多彩です。前半の敵として、火薬や炎を使う「鬼」、忍術を用いる「狐」が登場し、それぞれ異なる対策が必要となり、戦闘に戦略性をもたらしています。


 敵である羊蹄六人衆が地元から見て明確な侵略者であり、邪悪な存在として描かれているせいかもしれませんが、師匠となる人物たちは総じて人格者であり、前作『ツシマ』に出てきた「ちょっと落ち着いてください」といいたくなるようなサブクエストに出てくる人物たちとは対照的でした。


 一方、主人公の篤は侍ではなく、復讐のために戦うただの浪人です。前作の主人公・仁は「人々を守る侍」としての誉を捨てて戦っていましたが、この違いは物語全体に強く影響を与えています。篤は復讐心にとらわれ、しばしば道を誤りかけます。ですが、周囲に諭され、戦いを通して「復讐で得るものはあるのか」「守るべきものは別にあるのではないか」と変化していく過程が描かれます。


 最終的に復讐は成し遂げられるものの、失うものはあまりにも大きかった──という結末です。しかし、この展開自体は驚きよりも「やっぱりそうなるだろうな」という予感がずっと付きまとっていました。


 前作では誉を捨てた仁の“最後の選択”はプレイヤーに委ねられましたが、今作の篤にはそれがありません。どのように戦っても「大切なものを失う」という結末は固定です。個人的には、「復讐のため全てを犠牲にするのか」「復讐を捨て守るべきもののために生きるのか」を選ばせてほしかった──そう思います。


総評:ゲームは最高、ストーリーの余韻は少し苦い

 以上の通り、ゲームとしては文句なく楽しめましたが、ストーリーは結末で少々残念な気持ちが残りました。「どうしてこんなことになってしまったのか……」というのが率直な感想です。因果応報といえばその通りですが、もう少し救いや爽やかさがほしいとも思わされました。


 とはいえ、これはあくまで私個人の物語の好みであり、時代劇オープンワールドアクションゲームとしては非常に完成度の高い作品であることに変わりはありません。でなければ、私は35時間も没入して遊んでいません。前作が好きだった人にはもちろん、前作未プレイの人にもおすすめできる一本です。


 クリア後に再開すると「最後の敵を倒す前」に戻され残ったクエストをプレイするだけだったのが少し残念だったのですが、11月24日に無料アップデートが実施されることとなり、ニューゲーム+として全ての武器、防具、能力を引き継いだ形での周回プレイができるように。加えて、新たな難易度や防具、既存防具のさらなるパワーアップも追加されることとなりました。


 他にはクエストのリプレイ機能が実装されるのも個人的にはとてもうれしいところ。ちょうどPS5も値下げが発表されたことですし、年末年始を雪の羊蹄山麓で過ごしてみてはいかがでしょうか。




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  • まだ詳細見てないけど、政子殿やら石川先生みたいな個性の尖った人は居るんかな(。ŏ﹏ŏ)?
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