限定公開( 103 )

12月1日、長年使われてきた健康保険証が有効期限を迎えた。2日以降、これまでと同じ自己負担率で保険診療を受けるには、原則として健康保険証とマイナンバーカードを一本化した「マイナ保険証」か、医療保険者が交付する「資格確認書」が必要になる。
ただし旧来の保険証が即座に使えなくなるわけではなく、2026年3月末までの利用が暫定的に認められている。この点が十分に伝わらないまま期日を迎え、ネット上では誤った情報が広まり、戸惑いの声が目立つ状況に陥っている。
健康保険証の扱いについては、2023年に改正マイナンバー法が成立し、2024年12月以降は新規の保険証発行が停止され、有効期限を迎えるまでは最大1年間の使用が可能としていた。今回の12月1日には多くの保険証が期限に達したが、それでも2026年3月末までは使用できる。それにもかかわらず、ネット上では「12月1日をもって保険証が完全に使えなくなる」と断定する情報が拡散され、正しい情報を把握しづらい状態が生じている。
●ネットに情報錯綜→消費者は混乱
|
|
|
|
ネット上では「あたかも従来の健康保険証が12月1日付けで使えなくなるかのような情報」が出回った他、政府によるSNS上の注意喚起もあり、さまざまな情報が錯綜したことから「何を信じればいいのか」という混乱の声すら目立つようになった。
特に誤った情報に対しては、「現在の保険証は問題なく使える」「資格確認書が届いており、名称が変わるにすぎない」といった冷静な指摘があるほか、「12月2日から使えないという報じ方は不適切」「有効期限が切れても使用可能と正確に伝えるべきだ」といった意見が目立つ。また「慌てて市役所に駆け込んだ市民がいる」「誤解を広めて切り替えを促す印象がある」と訴える声もある。
情報の錯綜により、資格確認書が届かない人からは、「病院で拒否されないか」「紙の書類をいつまで保管すべきか」といった不安も寄せられた。さらに「公共放送の信頼性が揺らぐ」「補足や訂正の情報が付かないのは不自然だ」などという声が相次いだ。
・すべての保険証は来年3月末まで使用可能であるにもかかわらず、なぜ“12月2日から使えない”という情報周知をされるのでしょうか。厚生労働省もこの変更を周知しないとしているようですし、国民の不安を煽るようなことは避けるべきではないでしょうか。
・「有効期限が切れても使用可能」ということをしっかりと周知すべきです。
|
|
|
|
・「12月1日でマイナ保険証以外のすべての保険証が使えなくなる」といった報道を見て、驚いた市民が慌てて市役所へ向かうケースもあるようです。意図的に不安を煽り、マイナ保険証への切り替えを促すような誘導には疑問を感じます。
・仮にマイナ保険証への完全移行まで従来の健康保険証が使えなくなった場合、病院や薬局での対応が心配です。役所から新しい書類がまだ届いていないのですが、紙の資格確認書はいつまで保管しておけばよいのでしょうか。
●期限切れに気付かない人を想定した暫定措置も
厚生労働省は、制度変更に気付かないまま期限切れの保険証を持参した人に対応できるよう、2026年3月末まで旧保険証を提示した場合でも、これまでと同じ自己負担割合で受診できる暫定措置を設けている。医療機関や薬局にはこの方針を周知しており、突然受診できなくなる事態を避ける体制が整えられているという。
こうした暫定措置の存在と移行促進の呼び掛けが同時に伝わったことも、読み手や受け手が情報を整理しきれなくなり、混乱を招いた一因と思われる。
|
|
|
|
政府は移行を円滑に進めるための広報を続けており、デジタル庁は2025年11月26日にマイナ保険証の利便性を説明する動画を公開した。さらに松本尚デジタル大臣は11月28日の会見で「切り替えをぜひお願いしたい」と協力を求めた。
●マイナ保険証はスマホでも順次利用可能
マイナ保険証は2025年9月19日から、スマートフォンでも順次利用可能になり、対応機関では、スマートフォンを専用のカードリーダー端末にかざして本人確認を実施できる。利用には事前の設定が必要だ。マイナポータルアプリを使い、マイナカードの健康保険証としての利用登録を完了した上で、スマートフォンにあらかじめマイナンバーカードを追加しておく必要がある。
●情報の伝わり方が受け止め方に大きな影響
今回の混乱を通して、SNS上での情報の伝わり方が受け止め方に大きな影響を及ぼすことが分かった。国民が安心して医療機関を受診できるようにするためには、発信側が正確かつ整理された情報を届ける努力に加え、受け手側も根拠を確かめて情報を扱う姿勢が求められるようだ。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。