「老後2000万円問題」が「1238万円」になったワケ “ゆとりある老後”には1億円超、40年後は8600万円不足?【Nスタ解説】

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2025年12月02日 19:40  TBS NEWS DIG

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老後30年に必要な資金は1238万円だといいます。あれ、 減ってない?と思われた方も多いのではないでしょうか?その内訳をみていきます。

【画像で見る】“ゆとりある老後”に必要な資金

老後の資金 今は“老後1238万円問題”に?

出水麻衣キャスター:
老後に必要な資金は、これまでは“老後2000万円問題”として取り沙汰されていたと思います。

これは2017年の総務省の家計調査をもとに算出されているものです。収入と支出を計算すると、毎月約5万5000円の赤字が出る見込みのため、30年間で年金以外に2000万円必要になるというもの。

【老後2000万円問題】2017年 総務省家計調査
夫65歳以上/妻60歳以上の無職世帯
実収入ー実支出
毎月の赤字:約5.5万円
30年間の生活で年金以外に“2000万円必要”

この家計調査は毎年発表されています。2024年の調査では、毎月の赤字は「約3.4万円」ということで、2017年の調査からは2万円近く減っています。

2024年の数字で計算してみると、老後30年過ごすのに必要な額は「1238万円」となります。

【いま 必要な額は?】2024年 総務省家計調査
毎月の赤字:約3.4万円
現在は“老後1238万円問題”

少し減っているため、喜ぶ人もいるかもしれません。ニッセイ基礎研究所・主席研究員の井出真吾氏は「6年前に比べ、働く女性が増えたため家計収入が増加し、毎年の赤字額が小さくなっているのでは」としています。

妻が現役時代に働いていて年金が多かったり、夫のリタイア後にパートなどで働いていたりして、相対的に家計の収入が増えていることが理由にあるようです。

“老後2000万円問題”の数字などを、どのように見ていますか。

経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
当初“2000万円問題”が出たときには、皆さんすごく驚いて不安になったと思います。

その2017年以降、「自分たちで何とかしなければならない」ということで、副業や投資などでお金を確保するという動きになったのではないでしょうか。一方で、少し赤字が減っているというのは、働いたり節約したりという家計の努力の結果なのかなと感じます。

旅行に孫への援助 “ゆとり”ある老後には1億円超!?

出水麻衣キャスター:
個人的には、リタイア後も旅行などにも行きたいと思うので、老後にゆとりある生活をするのであれば、どのくらい必要なのか調べてみました。

生命保険文化センターの調査によると、ゆとりの為の“上乗せ額”は「平均15.2万円」ということです。最低限の生活費と合わせると、月額平均39.1万円の生活費用が必要になるといいます。

【ゆとりある老後の生活費用】
最低限の生活費 平均23.9万円
ゆとりの為“上乗せ額” 平均15.2万円
月額平均 39.1万円
※生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」

“上乗せ額”の使い道については、▼旅行・レジャー、▼生活費の充実、▼子ども・孫への援助などがあげられています。

【“上乗せ額”何に使う?】
▼旅行・レジャー 59.5%
▼生活費の充実 50.1%
▼趣味・教養 47.9%
▼身内のつきあい 43.1%
▼家電など買い替え 30.9%
▼子ども・孫への援助 16.3%
▼友人とのつきあい 11.1%
▼貯蓄 4.4%
※生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」

井上貴博キャスター:
退職金の額や運用状況など人によって変わるものですが、不安が募ってしまう難しい問題だと感じます。

ゆとりある老後には「1億4000万円」が必要

出水麻衣キャスター:
生命保険文化センターの調査から試算すると、こうした“ゆとりある生活”を30年間過ごすには、「1億4076万円」必要になるということです。

ニッセイ基礎研究所・主席研究員の井出真吾氏の試算によると、老後30年で退職金、年金以外に、資産から「3896万円」を取り崩さなければいけないということになります。

【65歳〜95歳ゆとりある老後】

▼支出 1億4076万円
※生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」より試算

▼収入
定年退職時の退職金 1900万円(大卒平均)
公的年金 8280万円(厚生年金・国民年金)
不足 3896万円
※ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏 厚労省「モデル年金」を元に試算
※無職の夫婦が65歳から30年間年金受給

退職金・年金以外に必要な蓄え 40年後には8000万円に?

出水麻衣キャスター:
ただ、「3896万円」というのは現時点での試算になります。このまま物価が上がると、40年後には「8603万円」が必要になりそうです。

【“ゆとりある老後”に必要な資金】“物価2%上昇”続けば…
現在 3896万円
10年後 4749万円
20年後 5789万円
30年後 7057万円
40年後 8603万円
※ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏の試算

今の「8000万円」と40年後の「8000万円」の価値は違うと思いますが、これだけの金額が必要になってくるということです。

経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
物価が2%上昇するということは、おそらく賃金も上がっているはずです。一方で、副業・投資をして、2%を上回る5〜7%の運用先にお金の預け場所を変えておく。そこで、NISAなどの仕組みがあるということです。

20代であれば60歳までは時間がありますから、その時間を味方につけて投資などで自己防衛してほしいと思います。

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<プロフィール>
馬渕磨理子さん
経済アナリスト 日本金融経済研究所代表理事
“日本一バズる”アナリスト
様々なお金の話をわかりやすく解説

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このニュースに関するつぶやき

  • 一文無しの老人でも生きられるようにするのが国家の役割だろうに、2000万貯めろとか1238万貯めろとか誰が言ってるのかね。死ぬまで貯金させて国庫に入れるつもりだろ。
    • イイネ!14
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