■キャンプブーム終焉は本当?
「キャンプブームがついに終焉!」最近、そんな話題をよく耳にするようになったが、本当にそうなのだろうか。
(参考:【写真】『アウトドアビークル OUTDOOR VEHICLE vol.05』かっこいいカスタムカーを見る)
筆者はキャンプ雑誌の編集に定期的に携わっているが、まず肌感覚としては、キャンパーの総人口は減ってはいないように思う。もちろん、子どもが成長してキャンプに行かなくなったり、単純に飽きてしまった家族もいるだろうが、取材をしていると同程度の割合でキャンプを始めた家族だっている。
キャンプギアの売り上げが落ちているというニュースもとりざたされるが、単にリユース市場が活性化してきたことが要因だと思っている。コロナ禍の巣ごもり需要やその反動でキャンプギアが供給過多になっている状況はあるにせよ、それはあくまでも一時的なもので、次第にバランスが取れていくだろう。
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そもそもキャンプシーンの盛り上がりは、コロナ禍以前のガレージブランドの台頭から始まっていると思うので、ブームの終焉というよりは、コロナ前の状況に戻るだけだはないだろうか。
ただ、キャンプカルチャーが、成熟期に入ったことは言えるかもしれない。
言い換えれば、多様性の時代になった。多様性とはこだわりの細分化であって、たとえばミリタリー好きなら野営に挑戦する人もいるだろうし、キャンプにとどまらず釣り泊、登山泊などのアクティビティに興味を持つ人もいる。テント泊をすることにかわりはないが、環境や目的が変われば、当然使用するギアも変わってくる。
ギア選びが劇的に変化した2つの潮流とは?
そういう意味では、昨今、ギア選びが変化する、2つの新しい潮流を感じている
■アウトドアリビング派
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キャンプ用のテーブルやチェアなどを、自宅で活用している人が増えている。アウトドアリビングを意識した居住空間は今や当たり前になっているし、コンパクトに畳めるキャンプギアなら引越しの際も楽だったりする。たとえばINOUT(イナウト)というブランドはその名の通り、屋内(イン)と屋外(アウト)をボーダーレスにつなぐ、部屋で過ごすスタイルを外に持ち出すことがコンセプト。家具クオリティなので、キャンプギアとしてみれば高額かもしれないが、家具とアウトドア兼用と考えれば決してコスパは悪くない。
■ULキャンプ派
ULとはウルトラライトの略。そのルーツはロングトレイルハイカーが生み出した極限まで軽量に特化したギアのことを指すが、それらのギアをキャンプでも楽しむスタイルがにわかに盛り上がっている。すべてのギアをバックパックに収納できれば身軽となり、クルマで行けなかった場所も行けるなど自由さが増す。つまりキャンプが旅へと様変わりする。「ミニマライズキャンプ入門」(朝日新聞出版社)を監修したCAMPたかにぃが提唱するULキャンプスタイルは、軽量好きのキャンパーに厚く支持されている。
スタイルが変化していけば、使う道具も見直されていく。
それまで使ってきたキャンプギアをまとめてリセールすることも多々あるだろう。キャンプギア中古市場が活性化しているのは、こうしたサイクルも一因にあるはずだ。
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熟練のキャンパーは新たなキャンプスタイルを目指し、手放したギアをライト層が購入する。シーンが成熟してくとはそういうことだと思う。
(文=米田圭一郎)
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