【山形県知事・吉村美栄子】第4回「子育ては一番大事な仕事。毎日子どもを育ててくれてありがとう」

0

2024年05月14日 10:00  ママスタセレクト

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ママスタセレクト

ママスタ
第1回から読む。
前回からの続き。0歳〜2歳児の保育料無償化に向けて段階的に負担軽減を進める山形県。国がサポートできていないところを独自の政策で積極的に取り組み、子育て世帯の負担軽減をする吉村美栄子山形県知事。自身の子育て経験を通して、現役のママやパパたちに伝えたいこととは?
ysm

0歳から2歳までの保育料が家計の負担に


──現在、山形県ではさまざまな子育て政策を実施しています。そのなかで吉村知事が、課題だと感じていることはありますか?

吉村美栄子山形県知事(以下、吉村知事):現在、全国的に3歳児以降は保育料の無償化が実施されています。0歳から2歳児がいる家庭の場合は、生活保護世帯や市町村民税非課税世帯に限り無償になります。ただ、保育園を利用する親の立場からすると、0〜2歳までの保育料がとくに高く、家計の負担になっているご家族も多いのではないかと思います。

そこで山形県では、令和3年度から低所得世帯(推定年収470万円未満)に対して、保育料を大幅に軽減する事業を市町村と連携して実施しています。この取組みは、子育て世帯からすごく評判が良くて、今県内の8割の市町村では、低所得世帯の保育料が無償化されています。とはいえ財政も限られているので、更なる負担軽減の拡大は、山形県でやるのではなく政府の政策としてやるべきだと私は考えています。

子育ては人間の仕事で一番大事なこと



──現在、吉村知事のお子さんは2人とも成人されていますが、ご自身の子育てを振り返ってどんなことが印象に残っていますか?

吉村知事:初めて子どもを産んだとき、叔母から「あなたは、人間のなかで一番大事な仕事をしているんだよ」と言われました。その言葉はずっと私の心の支えになりました。もちろん、ゆとりのない時期もあり、子どもが言うことを聞かなくてイライラすることもありましたが、そんなときは叔母の言葉を思い出すと我慢することができました。

子育ては思ったようにいかないことも多く、ときには、不安や自信喪失に悩むこともあるでしょう。でもそんなときこそ、私は若い方々に対して、「あなたたちは本当に一番大事な仕事をしているんだよ」ということを伝えたいですね。

──子育て中のママやパパたちの励みになりそうな言葉ですね。

吉村知事:その言葉は私にとって心の支えであり、同時に他の方にも支えとなるものだと感じています。私自身、仕事をしながらの子育ては、大変な時期もありました。

子どもの反抗期、壁を叩かれたことも


──余裕がなくなったと感じたとき、たとえば子どもの反抗期などはどのように対処されましたか。

吉村知事:反抗期は大変でしたね(笑)。小さいときには、いつも私のあとをついてまわっていた長男も、反抗期になると、ときには壁を叩き、大きな声を出したりすることもありました。でも大切なのは、反抗期というのは、子どもがこの時期に自分を見つめ直し、親から離れるために反抗することもあると理解すること。今、子どもは成長しているんだという視点で見ると、つい一言、言いたくなることも我慢できるようになります。

──子育てを卒業した先輩ママの吉村知事から、今子育て真っ最中のママたちにどんな言葉を伝えたいですか?

吉村知事:子どもは日々成長していくので、その瞬間、瞬間を楽しんでほしいです。私自身の子育てでいえば、今振り返ると受験が一番大変で、同時に楽しかったなと思います。子育ては大変で、早く終わってほしいと思うことも正直あると思います。しかし、終わってしまうと空白を感じてしまうもの。卒業後に振り返ると、子どもを育てる時期が本当に輝いていたんだなと感じることがあります。

現役のママたちには、できるだけ日々の子どもとのやり取りのなかで、喜びや嬉しい瞬間を見つけてほしいです。大変なこともあるかもしれませんが、そうした瞬間がたくさんあるはずです。子育て中は大変なことばかりが目立ちがちですが、素敵な瞬間も隠れているはずです。

子育てのポジティブな部分にも目を向けて



──最後に、ママスタ読者のママたちへメッセージをお願いします。

吉村知事:毎日、子どもを育ててくれてありがとうと心から言いたいです。子どもを育てることで、ママたち自身も成長しているはずです。人間の幅が広がり、世界も広がっていくなかで、楽しいことや喜びを見つけてほしいと思います。大変な瞬間に惑わされず、ポジティブな部分に焦点を当てて、子育てを楽しんでください。

山形県では、社会全体で子育てを支え合い、その文化を広げていきたいと考えています。そういった社会を進化させ、発展させていきたいとの願いがあります。これからも子育て中の方とお話し合いができる場を増やしていくつもりですので、どんどん声を上げてくれるといいですね。私たち県民一人ひとりが子育て応援団であり、社会全体で子育てをサポートし合うべきです。声を上げ、共に子育てを応援し合いましょう。

(編集後記)
ママやパパたちの声に耳を傾け、0〜2歳児までの保育料無償化を実施するなど、県民に寄り添った政策を展開する山形県吉村知事。最終回のインタビューでは、ママたち自身が要望を伝えることの大切さも強調されていたのが印象的でした。これを機に、お住まいの自治体に、ママたちの声を届けてみてはいかがでしょうか?
※取材は2024年2月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。
【聞いてみたい!】バスケットボール河村勇輝選手や、お金・教育その他の専門家インタビュー

取材、文・間野由利子 編集・荻野実紀子

■ママスタセレクトで読む

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定